英文契約書の相談・質問集89 相手方の権利を否定したいときはどうすればいいですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「相手方の権利を否定したいときはどうすればいいですか。」というものがあります。

 

 英文契約書で,相手方が権利を持つということは,裏を返せば,貴社が相手方の権利に対応しなければならないという義務を負っていることになります。

 

 その義務を否定したい場合に,英文契約書上でどのような対策がありうるでしょうか。

 

 まず最初に思い浮かぶのは,当然ですが,その条項の内容をすべて削除してしまうことです。

 

 そうすれば,当たり前ですが,相手方の権利と貴社の義務は存在しないことになります。

 

 なお,英文契約書の条項を削除した場合,その後の条項番号がずれてしまうことを避けるために,Intentionally Omitted(意図的に省略)と削除した箇所に記載することもあります。

 

 英文契約書にIntentionally Omittedという表記があった場合,もともとはそこに何らかの内容が書かれていたものが何らかの理由により削除されたと考えて良いでしょう。

 

 上記のように削除するのが直接的な対応なのですが,削除すると,貴社がその義務を負わない意思を表明していることになりますので,相手方は容易にこれを受け入れないことがあります。

 

 その場合は,条項を削除するという方法以外の方法で事実上貴社の義務を弱めてしまったり,消してしまったりできないかを考えることになります。

 

 わかりやすい方法としては,相手方がその権利を行使するには貴社の承諾(consent)が必要としてしまうことです。

 

 こうすれば,相手方が英文契約書に記載されている権利を行使したいと考えても,貴社が承諾しない限り,権利を行使できない,つまりは,貴社は義務を負わないということになります。

 

 もちろん,このような意図は相手も理解していますので,簡単に承諾を拒否されて権利が有名無実化しないように「ただし,貴社は不合理に承諾を拒否してはならない」などの但し書きを入れてくることもよくあります。

 

 それでも,合理的な理由があれば,義務を拒絶できることになりますので,ただ単に相手方の権利と貴社の義務が書かれている場合よりも,貴社にとって利益があることになります。

 

 または,相手方がその権利を行使する際には,当事者間で協議して合意した方法によらなければならず,その方法で貴社の義務を実施するなどとすることもあります。

 

 これにより,協議の結果,合意に至らなかったという場合には,貴社が義務を履行しなくとも契約違反とならないという解釈も成り立ちえます。

 

 そこまでいえなくとも,義務の履行方法についての協議の過程で,相手方の要求する内容をそのまま受け入れずに,貴社の要求も踏まえた上で義務の履行方法が定められる可能性があるため,単に貴社の義務が書かれている場合よりも有利といえます。

 

 このように,英文契約書において自社の義務を実質的に否定する,または弱める方法はいくつかあります。

 

 ストレートに条項を削除するのが通常ですが,それが受け入れなくとも,すぐに諦めるのではなく,相手方の権利行使をそのまま受けなくてはいけないことを避ける手法を考えるべきということになります。

 

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