英文契約書の相談・質問集90 英文契約書で日付を記載するときに決まりはありますか。
海外進出・海外展開をするときに必要になる英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「英文契約書で日付を記載するときに決まりはありますか。」というものがあります。
英文契約書に契約締結日(Execution Date)や発効日(Effective Date)をはじめ,日付を記載する機会は多くあるかと思います。
その際に,英文契約書に日付をどのように書くべきなのか教えて欲しいという相談を受けることがあります。
日付については,昔(今でも固い書面ではこうなっていることも多いですが)は,this [date]th day of [month], [year]などと表記していました。
ただ,最近は,もう少し端的に,[date] [month], [year]とすることも多いです。
なお,上記の日付表現は,最初に「日」が来て次に「月」ですので,いずれもイギリス(英国)式です。
アメリカ(米国)式では,最初に「月」が来て次に「日」が来ますので,[month] [date], [year]となります。例えば,2017年5月11日であれば,May 11, 2017と表記します。
逆にイギリス式ならば,11 May, 2017ということになります。
イギリス式とアメリカ式のどちらを採用しても構いません。ただし,重要なのは,どちらかを使用したら,その用法で統一することです。
当然ですが,両者の表現が同一の英文契約書で混用されていると,問題になる日付の捉え方が違うということになり,解釈に問題を生じて紛争の火種になりかねません。
その他の記載方法に,数字だけで記載するという方法もあります。アメリカ式で記載する場合,上記の例であれば,05/11/2017という書き方です。
私がイギリス留学時に書面にサインするときに日付を書くときは,面倒なので,数字だけで記載するということをよくしていましたし,数字だけの日付記載をよく目にしました。
日常生活では,このような表現でもまず問題になることはないでしょう。
しかしながら,このような表記の方法は,英文契約書では避けた方が良いです。
なぜなら,数字によっては,イギリス式とアメリカ式で日付が変わってしまい,無用な混乱を招くおそれがあるためです。
上記の例で,05/11/2017という表記は,アメリカ式では5月11日ということになりますが,イギリス式でいえば11月5日ということになってしまいます。
05/13であれば,13という数字が月を表すことはありえないので,05が月で13が日にちであることは争いはないですが,上記の11のように月と日にちの両方がありうる場合は,逆に捉えられてしまう危険があるのです。
したがって,イギリスやアメリカに滞在中に書類を書く際に数字のみの日付を書く場合には,その国の慣行に従っていることが前提になっていて基本的に誤解がないため問題ないですが,契約書など,国をまたぐ場合には,また,重要な書類の場合には,このような表現は避けるべきといえます。
いちいち月を書くのが面倒だということであれば,せめて月の略語(例えば1月なら「Jan.」)を使用した方が良いでしょう。
なお,笑い話ではありますが,英語を母国語としない人にとって,特にFebruaryのスペルは何度書いても覚えられないという都市伝説のような話もあるので,スペルミスには注意されて下さい。
現場で契約書にサインをする際に,突然Februaryのスペルが出てこなくなってしまったが,聞くのも恥ずかしいという場合には,前述した略語を使用してFeb.と書いてしまうのも一案かもしれません。
基本的な話ですが,日付は,契約や権利・義務の発生日や,有効期限の起算日・終了日などを表すことがあり,英文契約書で大切な役割を果たすため,このような基本的なこともおろそかにしないように注意しなければなりません。
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