英文契約書の相談・質問集92 Del Credere Agentとは何ですか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「Del Credere Agentとは何ですか。」というものがあります。
これは,Agency Agreement(代理店契約書)のAgent(代理店)の1形態といえます。
Agency Agreement(代理店契約)というのは,いろいろなパターンがあるのですが,原則として,Agent(代理店)が,売主の代理人として,売主に代わって顧客と商品の売買契約を締結し,売主が顧客との間の売買契約に基づき,顧客に直接商品を引き渡す形態の契約をいいます。
そして,Agent(代理店)は,自分が代理人として契約した商品の売上の一部を手数料(Commission)として受け取って利益を上げるということになります。
このAgent(代理店)がどこまで役割を担うかというのは,契約によってまちまちです。
上記と異なり,契約の代理締結はできず,単に顧客に営業をし,契約を締結するのは売主自身という場合もあります。
その場合は,その代理店をAgentとは呼ばず,Sales Representativeと呼ぶことがあります。
これに対し,Del Credere Agentというのは,上記のAgentの契約行為の代理に加え,顧客からの代金回収まで担うAgentをいいます。
ヨーロッパでよく指名されることがあると言われています。
日本でも例はありますが,その場合は,(当然ですが)最終的な代金の回収リスクそのものについては売主自身が負い,あくまで,代理店は,代金の回収の代行業務だけを担うというのが一般的です。
そして,もし顧客から代金を回収できなくとも,代理店は,回収できなかった代金の手数料はもらえないということはあっても,代金回収をできなかったことについての損害賠償責任などは負わないとされることが多いです。
最終的な回収リスクは売主にあるとはいえ,代理店がこのような回収業務という重い業務を請け負うので,このDel Credere Agentは,通常のAgentよりも手数料が高率に定められることが多いようです。
重要なのは,日本では代理店契約,エージェントなどと一括りで扱っている場合がありますが,英文契約書では,呼び名によって役割が異なっており,一口に「代理店契約」といっても,様々な形態が見られるということです。
そのため,代理店となる自社が想定している契約内容と,実際の契約内容が一致しているかどうか,きちんと確認しないと,後で思わぬトラブルを招くことがありえます。
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