英文契約書の相談・質問集97 Warranty(保証)の内容を決める際に注意すべき点は?
英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「Warranty(保証)の内容を決める際に注意すべき点は?」というものがあります。
Warranty Clause(保証条項)は,英文販売代理店契約書(Distribution/Distributorship Agreement)などでは,非常に重要な条項の一つです。
国際取引・海外取引では,異なる国に属する企業同士で取引するため,製品の品質の考えなどに齟齬があったり,商慣習によってお互いの製品保証における具体的な救済方法などについての理解が異なったりするとトラブルの原因になります。
そのため,英文販売店契約書(Distribution/Distributorship Agreement)には,必ず,Warranty Clause(保証条項)を挿入し,商品の保証内容について明確にしておくことが大切です。
Warranty Clause(保証条項)を設ける際には,概ね下記のポイントを記載すれば良いかと思います。
1.保証内容・範囲:何を保証し,どこまで保証するのか,保証内容と保証範囲を明確にします。
例えば,仕様書に合致することを保証するのか,通常の品質性能を備えていることを保証するのか,機能を保証するのかなど,保証する内容と範囲を定めます。
2.救済方法:保証違反があった場合,どのように問題を解決するのか,具体的な救済手段(remedy)について記載します。
例えば,売主の選択により,①問題のある商品を問題のないものに交換する,②修理する,③代金を返金するなどです。すぐに対応するのか,次回注文時に対応するのか,救済の時期などを決めることもあります。
3.救済手段の要求方法:保証違反があった場合に,売主に対しどのような手続きで救済を要求するのかを定めます。
保証違反の実際の状態を写真などで買主に証明させたり,大きな機械製品などであれば,売主が現地で確認したり,場合によっては該当商品を買主に送ってもらって売主が確認したりすることもあります。
売主としては,本当にその商品に買主が主張する保証違反があるのかどうかを客観的に確認できるように,保証に関する要求方法について具体的に定めておくと良いでしょう。
4.保証期間:いつからいつまで保証するのか,保証期間を定めます。
例えば,販売代理店が商品を受領してから1年間などと定めます。末端のユーザーが商品を受領してから1年間などと定めると,保証期間の進行の把握が売主にとって難しくなったり,コストがかかったりしますので,注意が必要です。
5.免責条項:明示した保証以外には一切保証しないということを通常規定します。
保証条項に記載した内容と範囲以外については保証されないことを明記します。
また,そもそも現状有姿(As is basis)で引渡し,最初から一切保証はないとすることもあります。
さらに,保証違反があった場合に,買主に損害が生じた場合,損害賠償もするが,その場合でも,「間接損害や結果損害は除く(賠償しない)」,また,賠償限度額(Limitation of Liabilities)として「◯◯円を超えては賠償しない」などとすることもあります。
概ね,上記のようなポイントを意識して,Warranty Clause(保証条項)を作成していくことになります。
Warranty Clause(保証条項)は,非常に重要な条項の一つですので,誤解や,想定していない事態が生じないように,粘り強く交渉して,明確に条項化すべきといえるでしょう。
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