英文契約書の相談・質問集100 英文契約書ではあらゆることを細かく規定すれば良いですよね。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「英文契約書ではあらゆることを細かく規定すれば良いですよね。」というものがあります。

 

 やや抽象的な相談ですが,英文契約書は,日本語の契約書に比べて,長文であることが普通です。

 

 こういうイメージも手伝って,英文契約書を作成する際には,あらゆるリスクや事項をすべて記載しておかなければならないと強迫観念的に考えられている方もたまにいらっしゃいます。

 

 もちろん,あらゆるリスクを想定してリスク・マネジメントをしておくというのは,理想でもあり,それが悪いということではありません。

 

 しかしながら,現実的に,すべてのリスクを網羅するというのはほぼ不可能に近いです。

 

 また,あらゆる事項を事細かに規定するのが常に良いかというと,交渉が難航したり,締結までに時間がかかったりというビジネス現場での不都合を招くこともあります。

 

 他にも,あまり細かく記載してしまうと,例えば,義務であれば,書いてあることを履行しさえすれば契約上問題ないという解釈になりやすくなり,付随的業務や関連業務などがあったとしても,詳細に義務が書かれているのであるから,そこに書いてあること以外は義務ではない趣旨だという理解に近づくことがありえます。

 

 さらに,義務は,書いてしまうと当然ですがしなければなりませんから,事情が変わったり,不要だと考えられるような義務でも,細かく書いてしまった以上,しなければならないという不都合も生じえます。

 

 このような理由から,英文契約書においても,ある程度包括的と考えられる条項,いわゆるバスケット条項や,当事者の裁量が認められる条項などをあえて入れることはあります。

 

 また,条項によっては,何か解釈上の疑問などが生じた場合,話し合って柔軟に対応するのが適切である,または,そうせざるを得ないということもありえます。

 

 その場合には,当該条項をあえて曖昧にしたり,柔軟性をもたせておいたりということも中にはあります。

 

 契約は,最終的には人間の行動にまで落とし込まれますので,機械の動きをプログラミングするというようなものとはやはり性質が異なります。

 

 そのため,リスクは承知で,あえて事細かく記載することを避け,そのことにより自社をより優位な地位に導くということは,現場ではあります。

 

 このような判断は,かなり上級者向きの判断になりますが,法務に長けた人だと,「この曖昧さを指摘するのは藪蛇になる可能性がある」,「ここはあえて包括的な表現にしておこう」という嗅覚が働くということは結構あります。

 

 今回のテーマは,少し抽象的で,具体例を挙げるのが難しいのですが,疑問に思ったこと,書いておいた方が明確になると思うものをすべて記載すれば,それが常に良いというわけではないということを理解しておいたほうが良いかと思います。

 

 契約書を検証する際には,それを書いた場合と書かなかった場合に,自社と相手方にとってどういう主張がありうるか,それにより具体的にどういう不都合が生じうるかを考え,どちらが良いかを考えてみると,「待てよ」というように,立ち止まれて気づくことがあるかもしれません。

 

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