英文契約書の相談・質問集102 売買契約書か販売店契約書かどちらを締結すべきでしょうか。

 

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「売買契約書か販売店契約書かどちらを締結すべきでしょうか。」というものがあります。

 

 

 例えば,日本のメーカーが海外の卸業者から引き合いを受け,その卸業者に商品を卸していくということを考えているとします。

 

 

 この場合に,英文契約書を用意するのが普通ですが,単発の売買契約書(Sales Agreement)になるのか,基本売買契約書(Basic Transaction Agreement)のようなものになるのか,はたまた販売店契約書(Distribution/Distributorship Agreement)になるのか,わからないという質問を受けます。

 

 

 結論からいうと,貴社と卸業者が交渉して自由に決めて良いですということにはなるのですが,選ぶ基準のようなものがないと選択できないと思います。

 

 

 まず,単発の売買契約書は,Purchase Order(PO)と,Purchase Order Acceptance(POA)で済ますことが多いと思いますが,これは一回限りの取引を想定しているものです。

 

 

 したがって,継続的に商品を卸していく際に,この方法を取ると,毎回契約書を交わすことになり面倒ですし,POとPOAで発注・受注を済ませていると,決めておいた方が良い条件が実は抜け落ちているということになります。

 

 

 そのため,一回限りではなく,継続的な取引を行うのであれば,それを想定した基本売買契約書や販売店契約書(Distribution/Distributorship Agreement)を作成した方が良いかと思います。

 

 

 両者の違いですが,どちらも商品を継続的に売買していくという点では違いがありません。

 

 

 法的には,売買契約という個別契約を繰り返し行う際に,その各個別契約に共通して適用するルールを定めているものという点では,基本売買契約書も販売店契約書(Distribution/Distributorship Agreement)も変わりはないです。

 

 

 ただ,主に買主側のコミットメント度合いが異なるという点が違います。

 

 

 独占の販売店契約書(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)で特に違いが明らかになります。

 

 

 基本売買契約書は,単に商品を売買する際に毎回適用される共通ルールを定めるという性質を持っているだけですので,基本的に,買主側には注文する義務はありませんので,注文してもしなくても自由ということになります。 

 

 

 そうすると,売主側は,基本売買契約書を締結したからといって,当該取引先から確実に一定の売上が見込めるとか,そういうことではないわけです。

 

 

 個別の売買契約の場合と異なるのは,単に,一定のルールの下で,売買をしましょうということになったという点にすぎません。

 

 

 ところが,とりわけ独占販売店契約書(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)になると,販売代理店は,貴社のブランドや商標の下に正規販売代理店として,積極的に販促活動をすることが想定されています。

 

 

 さらに,一定地域での独占的販売権を有していますから,その代わりに,通常は,一定の数量を注文する義務(最低購入数量・Minimum Purchase Quantity)(ミニマム・ノルマ)や,競合品の取り扱い禁止義務(Non-Competition)などが販売代理店に課されます。

 

 

 これにより,販売代理店は,原則として注文するもしないも自由という基本売買契約書の場合よりも,よりコミットメントした活動が求められることになります。

 

 

 もちろん,最低購入数量を買わなければいけないからという消極的な動機ではなく,販売代理店としては,独占的販売権をもらいながら,積極的にこの商品を自国で展開して利益を上げていきたいという動機から,このような契約を望むのが通常です。



 また,売主側を見ても,基本売買契約のレベルでは,買主からの注文に応じる法的義務まではないとしても,販売店契約になると,合理的な理由がない限り原則として販売代理店からの注文を受けなければならない義務があると解釈されやすくなるということもあります。



 この点により,販売店契約では,売主側を見てもコミットメントの度合いが高まっているといえると思います。

 

 

 このように,法的には,繰り返される個別の売買契約に共通して適用するルールを定めた契約ということで,両者は共通するのですが,役割は相当異なるものです。

 

 

 @個別売買→A基本売買契約→B非独占的販売代理店契約→C独占的販売代理店契約という流れを辿ることもありますし,いきなり非独占/独占の販売代理店契約を締結することもあります。

 

 

 要するに,お互いがどのレベルのコミットメントをもってその事業に取り組むかによって,結ぶべき契約書が異なってくるということです。

 

 

 当然,基本売買契約書では,商品の売買にあたり,最低限必要な内容だけ取り決めておけば良いという考えも出てくるでしょうが,販売店契約書(Distribution/Distributorship Agreement)の場合は,コミットメント度合いが高いですから,事細かに事業をどうするかについて決めていくことが多いです。

 

 

 売主・買主にとって,どの契約内容でいくのが良いのか,自社の利益のみならず,相手方のコミットメント度合いも計りながら,決定していく必要があるといえるでしょう。

 

 

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