英文契約書の相談・質問集103 振込手数料はどちらの当事者が負担すべきでしょうか。

 

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「振込手数料はどちらの当事者が負担すべきでしょうか。」というものがあります。

 

 

 売買契約なら買主が,サービスの提供に関する契約ならサービスを受ける側が報酬を支払います。

 

 

 その際,海外取引・国際取引でもT/T送金(Telegraphic Transfer)という銀行送金が一般的です。

 

 

 この場合,銀行が手数料を徴収します。今後,いろいろな決済手段が出てくると思うので,銀行の送金手数料ビジネスは力を失っていくのではないかと思いますが,それはさておき,現状では手数料を引かれます。

 

 

 この銀行手数料を当事者のどちらが負担するかによって,支払いを受ける当事者の実際の受領金額(手取り金額)が異なってきます。

 

 

 日本では,振込手数料は金銭を支払う側が負担することになっていることが一般的だと思います。

 

 

 支払いする方が本来持参して支払う(それにはコストがかかる)ということが原則となっていて,それに代わり銀行を利用して送金するのであれば,その手数料は支払う側が負担するのがフェアだろうというところでしょうか。

 

 

 ただ,海外取引・国際取引では,もう一つ視点が必要です。というのは,支払いを受ける側の銀行も手数料を徴収する場合があるためです。

 

 

 海外取引・国際取引では,送金側は自分の銀行で送金手続きを行います。このとき,送金銀行も手数料を取りますので,この送金にかかる手数料は日本における振込手続きと同じように振り込む側が負担します。

 

 

 これとは別に,振込先の銀行=受け取り側の銀行も手数料を徴収することがあり,この手数料まで支払側が負担するのかという視点が,国内取引では通常ない視点なのです。

 

 

 支払いを受ける側の銀行は,当然ですが,支払いを受ける側が選択している銀行ですので,振込をする当事者は,受け取り側の銀行の手数料がいくらなのか,相場より高かったりするかもしれませんが,そういう事情は知りません。

 

 

 そのため,支払いを受ける側の銀行手数料まで支払いをする側が負担するのは不合理・不公平ではないかという考え方があり,当事者双方がそれぞれ自分の銀行が課す手数料は,各自が負担とすると契約書で定めることが多くあります。



 つまり,例えば,買主が送金に使う銀行の手数料は買主が負担し,売主が着金に使用している口座の銀行が課す手数料は売主が負担するということです。

 

 

 もちろん,当事者の合意次第ですので,支払い側が受け取り側の銀行手数料もすべて負担するという合意をするのは構いません。

 

 

 ただ,その場合少し注意が必要です。というのは,自動的に後で受領側の銀行手数料も口座から引き落とされるというような方法で振り込む場合は問題ないのですが,そのような方法でないときは,支払い側がいちいち受け取り側の銀行の手数料を事前にチェックして,その額を上乗せして支払うということになってしまい,面倒なのです。

 

 

 また,支払いと受取りとで通貨が違う場合,為替リスクが介在していることがあります。そのため,着金側の口座の通貨で手数料を計算し,その分を上乗せしても,倍によっては為替変動により不足したり,逆に振込額が超過したりすることが起こります。


 

 このような事態になると,送金の後で細かい金額を追加で支払ったり,返金したりしなければならなくなり,かなり面倒です。

 

 

 そのため,こうした面倒を避けるべく,各々の銀行が徴収する銀行手数料はそれぞれが自分で負担するという合意をし,支払いをするということがよく行なわれているのです。

 

 

 たかが振込手数料と思われるかもしれませんが,振込金額や回数によっては銀行手数料もばかにならないということはありえますので,細かいようですが,銀行手数料の取り扱いも明確にしておいたほうが安全といえます。



 源泉徴収のように,税制度なのだから当たり前でしょうと思っていても,海外とのやり取りでは,なかなか理解してくれないことがあるので,後でもめないように,事前に細かいと思われることや常識だと思われることでも,合意しておく方がより安心といえるでしょう。

 

 

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