英文契約書の相談・質問集105 販売店契約が終了したのですが商品は売り続けても良いですか。

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英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「販売店契約が終了したのですが商品は売り続けても良いですか。」というものがあります。

販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)では,通常,契約期間が定められています。

自動更新条項などがある場合も多いですが,いつかは契約期間が満了し,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)が終了することになります。

また,契約期間の満了による終了でなくとも,契約期間の途中で,債務不履行解除や,中途解約条項に基づく契約の中途解約という場合もあります。

このようないずれかの原因で販売店契約が終了した場合,通常は,販売店の活動は停止させられ,あとは抱えている在庫品をどのように処理するかという問題だけで,もはや新たに商品を売り買いできなくなります。

しかしながら,まれに,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)は終了し,正規販売代理店としての活動は終了しつつも,元販売店が商品を購入し続けるということがあります。

サプライヤーとしても,例えば独占販売代理店として商品を販売させるのは問題があるが,商品を購入し続ける分には,特段問題はないとし,売り続けるということがありえます。

このような場合,販売店契約終了後も商品を売り続けているという事実関係をもって,法的に,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement),または,継続的な契約関係が続いていると認められることがありえます。

特に,対象国で,販売店契約のような継続的な契約関係について,販売代理店側を保護するような法律や判例理論がある場合は注意が必要です。

販売店契約が終了したと考えていたら,商品を供給し続けていたことで,知らず知らずのうちに,販売代理店が法的に保護を受けるという立場になっていたということにならないようにしなければなりません。

そのためには,そもそも英文契約書に,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)が終了した後に商品の供給が続けられたとしても,販売店契約が更新されたり,期間の延長がされたりしたものではないことを明確化しておく方法が一つ考えられます。

また,特に契約書に明記されていない場合に,販売店の希望を叶え,契約終了後も引き続き商品を供給する場合には,契約終了後の商品の供給は,販売店契約の更新や期間延長に当たるものではないことを販売代理店との間で覚書を締結し確認しておいたほうが良いかと思います。

覚書の締結が難しい場合は,せめてサプライヤーから販売代理店に対し,契約終了後の商品の供給は,販売店契約の更新や期間延長に当たるものではない旨を通知書により通知しておくということも考えられます。

ただ,いずれにしても,現地に販売店保護や,継続的な契約関係における買主を保護する法律や判例理論が強制的に適用される場合には,販売店契約が更新・延長されているものではないと契約書に記載したり,販売店に通知をしたりしたとしても,何らかの保護が販売代理店側に与えられるということはありえるでしょう。

法的保護は,現地の法律や判例によってまちまちだと思いますが,日本を参考にすると,例えば,販売店契約終了後の取引を終了させるには,一定期間の猶予が必要とされたり,場合によっては,販売店契約終了後の継続的な販売を終了させるには補償金の支払いが必要とされたりすることが考えられます。

このとおり,販売店契約が終了したにもかかわらず,取引を継続するということは,一定のリスクもあるということを認識して行う必要があるといえるでしょう。

もちろん,そもそもの販売店契約自体が,継続的な契約になりますので,その契約の段階で販売代理店に何らかの法的保護がすでに与えられているということがありうるわけですが,問題は,サプライヤーが,販売店契約が終了したことにより,継続的な契約関係は終了したと考えながら,商品を供給し続けているような場合といえるでしょう。

こうなると,サプライヤーは継続的契約関係は終了し,販売代理店の保護はたち消えたと考えているのに,真実は契約関係は継続しているものとみなされ,販売代理店は保護を受け続けているということになってしまいます。

このように認識と実体が乖離した状態にあると,予想したリスクを遥かに超えるリスクが現実化するおそれがありますので,注意が必要です。

→next【英文契約書の相談・質問集106】 販売店(代理店)保護法とはどういうものですか。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり,個別の案件についての法的助言ではありません。法令・実務は変更されることがありますので,最新の情報をご確認ください。

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執筆 弁護士 菊地正登(第二東京弁護士会/片山法律会計事務所)

2003年弁護士登録。英国 University of Southampton のLL.M(法学修士)コースワークで英米法・国際取引法等を学び,ロンドンの法律事務所 Hill Dickinson LLP で実務経験。英文契約書・国際取引を中心に取り扱っています。プロフィール

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