英文契約書の相談・質問集114 ハードシップ条項とは何ですか。

 

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「ハードシップ条項とは何ですか。」というものがあります。

 

 

 ハードシップ条項は,「事情変更条項」ともいわれます。

 

 

 日本でも,「事情変更の原則」などと呼ばれて議論されているような事態,すなわち,契約締結当時には予測できなかった環境変化などが後に生じ,契約で約束したとおりに義務を履行することが妥当でないような事態になったときに,契約内容の変更を行うことができるように定める条項のことを,ハードシップ条項と呼んでいます。

 

 

 わかりやすい例としては,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)などの継続的な売買契約の場合の商品価格などが挙げられます。

 

 

 販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)締結時には,そのときの売主の財務状況や事業計画,原材料価格,製造原価,経済情勢など様々な要素を考慮して,価格を決定しています。

 

 

 ところが,契約締結後に,契約締結時には予想しなかった経済危機が起きたり,自然災害が起こるなどして急激な環境変化により原材料費が高騰したり,製造原価が急に高騰したりということがありえます。

 

 

 そうなると,売主としては,最初に約束した商品価格を変更したいと考えるでしょう。ところが,最初の販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)において,価格を一定期間据え置きとしているような場合,契約の拘束力により原則として価格変更ができないということになります。

 

 

 このような場合に備えて,前述したハードシップ条項を挿入し,万一の環境変化などに対応できるようにしておくということがあります。

 

 

 例えば,上記のような急激な環境変化が生じた場合,両当事者は誠実に話し合い,契約条件の変更を検討するなどと定めるということがあります。

 

 

 このような取り決めは販売店としては,誠実に協議さえすれば良く,最終的に価格改定に合意する義務はありませんから,サプライヤーにとって実効性はあまりないかもしれません。


 

 もっとも,販売店も商品の安定供給を望むでしょうし,誠実に協議するという義務が課されている以上は,販売店も情報を入手してきちんと検討しなければならず,いい加減に値上げを拒否すればハードシップ条項の違反になる可能性もあります。



 そのため,このような抽象的な定めも一定の意味はあるといえるでしょう。



 より具体的に売主の救済になるようにするのであれば,「エスカレーション条項」といって,具体的な計算式を英文契約書に書き入れ,原材料費等の高騰がある場合,一定の増加率を超えれば,計算式により自動的に価格が改定されるという内容の条項を入れることもあります。


 

 また,そこまで具体的な規定でなくとも,事情変更という場合の,「事情」についてより具体的な事象を挙げて協議や価格改定の合意をしやすくするという手法もあります。


 

 さらに,商品にもよるのですが,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)などでは,そもそも価格を固定せず,個別契約に委ねておき,売主側が価格をコントロールできるようにしておくことが最も現実的かつ妥当な解決策ということも多いです。



 契約は一度決めればその内容を守らなければなりません。ただ,契約締結時にあらゆる環境変化を予測することは不可能です。



 そのため,許容範囲を超えるような環境変化が起きた場合には,例外的に契約内容に変更を加えられるようにしておくことも一定の合理性があるといえるでしょう。


 

 ただ,このような例外的な条項であるハードシップ条項などを挿入する際には,それによって主として不利益を被る当事者としては,小さな事情の変更で相手方に都合よく契約内容を変更されることがないように,契約条件の変更のための要件が妥当なものといえるかを吟味する必要があります。

 

 

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