英文契約書の相談・質問集115 商品出荷前に全額前払いと定めておけば回収リスクはないですよね。

 

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「商品出荷前に全額前払いと定めておけば回収リスクはないですよね。」というものがあります。

 

 

 確かに,売主が商品を出荷する前に,買主から商品代金の全額を前払いしてもらうように英文契約書で取り決めておけば,代金全額の支払いがない限りは,商品の出荷をしなくて良いということになりますので,売主にとって代金の回収リスクはゼロのようにも見えます。

 

 

 売主がメーカーで,売買の対象商品が汎用品で,メーカーが在庫を常に持っているというような場合は,上記のように代金回収リスクはないと考えて良いでしょう。

 

 

 ただ,売主が商品を他社から仕入れていたり,他社工場に発注して製品を製造させているような場合は,注意が必要です。 

 

 とりわけ,買主の仕様とまではいかなくとも,買主の注文で商品をアレンジ・カスタマイズして生産する特注品のような場合は,注意が必要です。

 

 

 この注意点は,当然といえば当然のことではあるのですが,意外と知らず知らずのうちにリスクを意識していないことがありますので,意識されることをおすすめします。



 前述のような場合は,買主からの注文を受けてから,売主が委託生産を開始したり,商品をメーカーから仕入れたりします。

 

 

 そして,英文契約書の条件では,買主は商品の代金を商品出荷前に全額払えば良いとなっています。

 

 

 そのため,買主としては,あくまで,売主から出荷準備が整った旨の連絡を受けてから,出荷前に代金を支払えば良いことになります。

 

 

 これは,売主の立場からすると,商品を仕入れたり,製造後に商品を受領して一旦在庫を抱えたりした状態で,売主からの支払いを待つということを意味します。

 

 

 もし,買主が約束どおり商品代金の支払いをしてくれなかった場合,売主は,商品出荷をしないという対抗措置はとれますが,買主が「やっぱり商品が必要なくなったから代金を払わない」という場合には,このような出荷停止措置は,買主には痛くも痒くもありません。

 

 

 こうなると,代金回収が怪しくなってきます。また,売主としては,製造・仕入れコストをすでに負担していますし,在庫が続けば保管コストもかさんでいきます。

 

 

 そのため,売主としては損失を最小限に抑えるために,買主との売買契約を,買主の債務不履行により解除し,商品を転売したいと考えるでしょう。

 

 

 ところが,前述のように,特注品のような扱いになっていると,汎用性がなく,そのままでは買い手がつかず他の顧客には転売できないという事態が生じえます。

 

 

 製造し直すにもコストと時間がかかってしまいますし,かといって,放置しておけば,保管費用がかさんでいくだけです。

 

 

 このような事態が想定されますので,こういう場合に備えた対処をしておく必要があるでしょう。

 

 

 具体的には,単なる商品の売買ではなく,仕入れや委託製造などを伴うのであれば,売主の発注前に,商品代金の全部または一部を買主から支払ってもらい,それを条件にして,商品の仕入れや製造を開始するということが必要です。



 少なくとも製造原価分を買主から発注時に払ってもらっていれば,後に買主が残代金を払わず,商品を受け取らない事態となっても,赤字になることは防げるという理屈にはなります。

 

 

 このような条件を英文契約書に入れておけば,前述したような,転売できない商品を在庫として抱えたまま,売掛金の回収に悩むという事態はある程度回避できるかと思います。

 

 

 このように,汎用性があり,売主が在庫を抱えていても問題がないという商品でない場合には,商品代金の支払いを出荷前に設定するだけでは安全ではないということがありえますので,ご注意下さい。

 

 

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