英文契約書の相談・質問集119 相手方にクレームを入れたいのですがどのようにしたら良いですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「相手方にクレームを入れたいのですがどのようにしたら良いですか。」というものがあります。

 

 最初は,良きビジネスパートと思い,取引を開始して長期間継続したり,合弁会社を作るなどして,一緒に合弁事業を行ったりしていても,何が起こるかわからないものです。

 

 最初に出会った経営者とは意気投合して,その後のビジネスも問題なく進行していたとしても,その後,経営者が交代したり,相手方企業が買収されて経営方針が変わり,これまでとは様相が変わってきたりすることもよくあります。

 

 そのため,最初にいくら人的信頼関係があり,トラブルなど無縁だと考えていても,ある種不可抗力的な要因で後にトラブルが起きてしまうということもあるのです。

 

 このようなことがないように,英文契約書で権利・義務をきちんと確定し,普段からのコミュニケーションも手を抜かず行っておくというのは大原則ですが,それでも起きてしまったトラブルについて,クレームを入れなければならないという事態になることもあります。

 

 では、相手にクレーム入れるという場合,どのような手順を取るべきなのでしょうか。

 

 通常は,クレームを入れる前に、まず当事者の担当者や経営者同士での話し合いが行われます。この話し合いで解決ができなった場合,正式にクレームを入れることになります。

 

 その場合は,通常は,クレームレター(Claim Letter)というレターを相手方に出すことになります。

 

 各国の法律にもよりますが,普通は,クレームを入れたいという場合に,いきなり訴訟(Litigation)を提起するということはまれです。

 

 中には,クレームレターを出さずにいきなり訴訟を提起することが法律で禁止されていることもあります。

 

 当事者本人名義でのクレームレターを作成し相手方に送ることもできますし,弁護士を立てて,弁護士名義でのクレームレターを送ることもあります。弁護士に作成してもらい,レターを送付してもらう方が普通かと思います。

 

 クレームレターには,紛争の内容と,自社の主張を記載し,それを裏付ける証拠などを場合によって添付します。日本だと「内容証明郵便」と呼ばれる形式で出すことがあります。

 

 どの程度の内容を書き込むべきかなどは,紛争内容や自社の優位性などによって異なってきます。

 

 弁護士からクレームレターを送ると,通常,相手方の弁護士からもカウンターのレターが送られてきます。

 

 その後,相手の反論について検証し,その後の方針を決めます。もう一度相手のカウンターに対して反論のレターを送ることもあります。

 

 後は弁護士同士が交渉を行い,和解(Settlement Agreement)を目指すことが多いです。国際紛争においては,訴訟や仲裁手続による紛争解決は,費用と時間がかかりすぎるため,特に中小企業には現実的な選択肢ではないことが多いです。

 

 そのため,自社と相手の主張の有利・不利を見極めながら,妥当な解決を図るよう交渉をしていきます。

 

 相手の弁護士も,通常は和解交渉の席にはついてきます。海外の弁護士は通常Hourly Rate Charge(タイムチャージ)といって,弁護士が動いた時間をベースに弁護士費用を請求します。

 

 案件の内容にもよるのですが,海外の弁護士は,一般的な日本の弁護士にように着手金・報酬金という弁護士費用を採用していることはまずないので,注意して下さい。

 

 そのため,クライアントとしても,紛争が長引くとそれだけ弁護士が動く時間が長くなり,結果として弁護士費用がかさむため,その点も考慮しながら交渉をしてくることが多いです。

 

 こうしたことを総合的に考慮して,お互いが不本意ながらも納得できるように,代理人として骨を折るのが弁護士の役割ということになります。

 

 どうしても和解による紛争解決ができない場合には,訴訟や仲裁手続に移行することになります。その場合でも,訴訟や仲裁手続きの中で早期に和解できないかをまた探ることになるのが通常です。

 

 もちろん,事案の内容にもよるのですが,普通は,上記のように正式にクレームを入れて,その後は交渉により任意に紛争を解決するという流れがほとんどです。

 

 このようにほとんどのケースで和解を目指すことになりますので,自己の主張や権利だけを延々に押し付けるということでは,特に国際紛争では解決が難しいということを理解しておかれた方が良いかと思います。

 

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