英文契約書の相談・質問集123 契約書の話し合いで解決するという内容の条項は意味がないですか。

 

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「契約書の話し合いで解決するという内容の条項は意味がないですか。」というものがあります。

 

 

 和文の契約書では,よく,「契約書の内容に疑義が生じた場合や,当事者間に争いが生じた場合,信義誠実の原則に従い,協議して話し合い解決する」というような規定が定められています。

 

 

 このような当事者の協議により解決するという条項は和文契約書では多く見かけますが,英文契約書ではあまり見かけません。

 

 

 というのも,契約書は,そもそもトラブルが起きた場合には,冷静な話し合いなどできないという前提もあって,トラブルなどが起こったときにどのように解決するのかを記載するためのものという側面があるためです。

 

 

 トラブルのときに契約書を見れば,どのように解決するのかが書いてあるというのが契約書の理想なわけです。

 

 

 そのため,契約書に,単に「トラブルになった際には,当事者が誠実に話し合って解決をしましょう」と書いてあるだけでは,契約書を作成した意味がほとんどないということになるわけです。 



 

 こうした事情により,英文契約書では,トラブルになった場合には,「当事者が信義誠実の原則に従って協議し解決する」という日本の契約書でよく見られる条項が入っていないことが多いのです。

 

 

 それでは,このような協議により解決を図るというような条項を契約書に入れることは意味がないのでしょうか。

 

 

 単に,話し合いで解決するということだけを書いた条項はあまり意味がないかもしれません。話し合いを試みて解決できなければそれまでということなので,実質的な意味を持つ規定とはいい難いからです。



 しかしながら,紛争解決の手順として記載することはある程度意味があると思われます。

 

 

 例えば,英文契約書において,最終的な紛争解決手段として,仲裁や裁判が選択されていたとします。

 

 

 ただ,当事者間に紛争が起きたとして,いきなり仲裁を申し立てたり,いきなり相手方を訴えたりというのは,唐突すぎますし,解決までの時間的,金銭的コストを考えると妥当ではない場合が多いでしょう。

 

 

 国の法律によっては,いきなり訴えることが禁止されている場合もあります。そのため,仲裁や訴訟という強制力を伴った法的手続きに入る前に,当事者間で話し合いを行い,一定期間話し合って解決ができなかった場合にはじめて,仲裁や訴訟を行うことができると英文契約書に定めることがあります。

 

 

 具体的には,「当事者の役員が,相手方の役員に通知して,90日間交渉し解決を図り,それでも解決できない場合には,仲裁を申し立てることができる」などと規定されることがあります。

 

 

 こうすることで,任意の和解による解決を模索することが義務付けられることとなり,いきなり高コストな法的手続きに入ることを避け,あくまで国の制度に頼ることなく自主的に紛争を解決することを優先するという姿勢を表すことができます。



 また,仲裁や裁判に至る前の具体的な手続の一つとして話し合いが定められているので,手続の一環として意味を持っていることになります。

 

 

 こうしたプロセスを無視していきなり仲裁を申し立てたり,訴訟提起をしたりした場合に仲裁や裁判が拒絶されるという実質的な効果まで認められるのかはさておき,こうした手順を規定することに一定の意義はあるでしょう。

 

 

 紛争内容にもよりますが,基本的には,仲裁や裁判で解決しようとするより,当事者の自主的な紛争解決を図ったほうが妥当である場合が圧倒的に多いと思います。

 

 

 そのため,契約書としても,そのような手順を踏むことを義務付けておくということは,意味がないとはいえないでしょう。

 

 

 ただ,このような紛争解決のプロセスとして規定するのではなく,およそ紛争が起きれば当事者が話し合いで解決すると規定するだけで終わってしまうと,それはあまり意味がないということになるかと思います。

 

 

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