英文契約書の相談・質問集126 現在使用しているドラフトは詳細すぎて失注しやすいのですが。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「現在使用しているドラフトは詳細すぎて失注しやすいのですが。」というものがあります。

 

 確かに,原則として,契約書を作成するからには,自社に有利になるよう,自社に不利益が課されないように,詳細に取り決めた契約書がある方が良いでしょう。

 

 ただ,相手によっては,詳細な内容の契約書に構えてしまい,修正を繰り返した結果,取引に至らず失注してしまうということが現場では起こりえます。

 

 この問題は,よく,社内の営業部と法務部で,契約に対する価値観の共有ができず,お互いが自分の立場から方針を主張し,平行線になってしまうという形で顕出します。

 

 また,グループ会社の子会社で,最終的には親会社の法務の承認がいるという場合にもよく起こる問題です。

 

 原則は,やはりしっかりとした内容の契約書を準備するのが正しいですが,そうはいっても,失注を繰り返してしまうのであれば,本末転倒ともいえます。

 

 企業は事業活動により利益を得ることが必要ですから,まずは受注して売上を上げることが大切です。これを契約書が邪魔をするようなことはあってはならないでしょう。

 

 そのため,杓子定規に自社の雛形を押し付けるということなく,柔軟に対応しなければならないという場面もあるかと思います。

 

 例えば,商品の売買取引をとっても,取引の金額や取引の回数,取扱商品の性質などによって,どこまで詳細な取り決めを契約書において行う必要性があるかは,ケースバイケース,程度問題ということもあるかと思います。

 

 売主の立場からすると,取引金額が少なく,年間取引回数もそれほど多くなく,販売店指名もせず,商品の品質保証の問題もそれほど起こらず,製造物責任の問題も生じにくいというような場合は,最低限の内容を取り決めておけば,実質的にそれほど問題はないといえることもあるでしょう。

 

 どうしても,契約書を作成する際に,雛形のようなものを「あるべき姿」のように意識してしまい,雛形のほうに自社の取引の内容を当てはめようとしてしまいます。

 

 ただ,これは,本来逆です。自社が行うべきビジネス,取引の内容が先にあり,これを契約書に書き起こし,問題のないように自社の法的リスクをケアするという流れが本流です。

 

 雛形は,検討すべき項目を知るというチェックリスト的な意味で使用するのは良いですが,雛形の内容に囚われてはいけません。

 

 取引の内容を決め,あくまでそれを実現するにはどうすれば良いかが先にあり,契約書はそれをバックアップするものだという認識を持つと,柔軟な発想ができてくるかもしれません。

 

 守るべき利益の優先順位,リスク発生の現実的可能性,顕在化した場合のリスクの大きさや内容などを具体的に考慮して契約書を作成すれば,現場のニーズも取り入れた現実的な契約書ができるでしょう。

 

 契約書を用意することが自己目的化してしまい,自社にとって完璧な契約書を準備し,毎回それを取引先に一方的に押し付ける結果,失注率が高いというのでは,問題があるかもしれません。

 

 契約書の締結が原因で失注を繰り返しているという場合には,契約書の意義や役割を今一度見直してみることをおすすめしています。

 

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