英文契約書の相談・質問集131 業務委託契約で実費についてはどう定めれば良いですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「業務委託契約(Service Agreement)で実費についてはどう定めれば良いですか。」というものがあります。

 

 業務委託契約(Service Agreement)では,業務を提供する受託者に,業務をする上で各種実費がかかることがあります。

 

 例えば,宿泊費や旅費・交通費などが典型例だと思います。特に海外のコンサルタントとコンサルティング契約を締結したり,海外の企業に何らかの業務を委託する業務委託契約を締結すると,これらの実費の取扱いが問題になります。

 

 海外企業が日本の企業に何らかのサービスを提供するという場合に,海外企業のスタッフが来日して,コンサルティングしたり,研修を行ったり,技術指導を行ったりすることがあります。

 

 この場合には,旅費・交通費,宿泊費,日当(これは実費ではなく報酬ですが)などが発生しますので,これらについて英文契約書で取り決めることになります。

 

 契約内容にもよりますが,このような実費は依頼者である日本企業側が負担するという方が一般的かと思います。

 

 その場合,単に,「日本企業が,海外企業が本件業務を履行するために負担した旅費・交通費,宿泊費等を負担する」という条項を入れるだけで十分でしょうか。

 

 結論から申し上げると,これだけですと十分とは言えず危険です。なぜなら,これでは,どこまでが本件業務を遂行するのに必要な実費の金額といえるのかがわからないからです。

 

 もちろん,本件業務に関係のないところで支出した実費については,日本企業が負担することを拒否することは,領収書などの内容や日付を確認して本件業務に無関係だと主張すれば比較的容易であると思いますので,通常,問題になることはないでしょう。

 

 問題は,本件業務に関して出費したことは明らかだが,金額が高すぎるという場合です。

 

 例えば,飛行機にもホテルにもグレードがあります。本件業務を行うためにスタッフが来日することまで良いですが,極端な例を出すと,ファーストクラスに搭乗し,5つ星ホテルに宿泊し,ルームサービスをたくさん注文したなどとなったときに,どこまでが日本企業の負担なのか,争いになる可能性があります。

 

 また,来日するスタッフの数やメンバーについても取り決めがないと,海外企業側が一方的に選択し,その実費を日本企業がすべて負担するということになるリスクもあります。

 

 このようなことがないように,事前に英文契約書において,金額の上限や飛行機・ホテルのグレード,日本企業が負担する費用の項目(飲食費や宿泊料以外の追加料金などは含まない),スタッフの人数などについて取り決めておくことが大切です。

 

 他にも有効な方法としては,細かい金額までは無理でも,搭乗する飛行機や宿泊するホテルなどを事前に報告してもらい,承諾したものだけをクライアントが負担すると定めることです。

 

 こうすれば,承諾がないものについては負担しないということができるので,対策になります。

 

 このような条項を入れることに相手が納得してくれるか心配であれば「不合理に拒絶しない」という但し書きを入れてあげれば,飲んでくれやすくなるでしょう。

 

 たかが実費と思っていても,人数や航空機・ホテルのグレード等によって,すぐに何百万円の請求になってしまいます。

 

 もちろん,実費が後払いになっている場合,海外企業も事前に確認せず,いったん自ら高額の実費を出費しておき,後で日本企業に請求する場合,支払いを拒絶されるリスクがありますから,断りもなく高額の請求書を送ってくるという現実的な可能性はそれほど高くないかもしれません。

 

 しかし,私も経験している実際の事例で,このようなトラブルになったことはありますし,そもそも実費の金額で揉めるということは,本来依頼した業務と無関係の話ですので,可能な限り避けるべきです。

 

 そのため,英文契約書では,単に,受託者が受任した業務に必要なため支出した費用を依頼者が負担するという文言だけではなく,後で揉めないように,範囲や金額などの詳細な取り決めをしておくほうが安全性が増すということになります。

 

→【英文契約書の相談・質問集132】 契約書には自社が欲しい権利はすべて記載すべきですよね。

 

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