英文契約書の相談・質問集132 契約書には自社が欲しい権利はすべて記載すべきですよね。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「契約書には自社が欲しい権利はすべて記載すべきですよね。」というものがあります。

 

 確かに,英文契約書を作成する際には,自社に有利になるよう,自社が要求したい権利はすべて書くという方が原則として良いことは間違いありません。

 

 しかしながら,現実には,必ずしも全件そのようにできるわけではありません。当たり前ですが,契約には必ず相手方がいますので,自社に有利になるよう,欲しい権利をすべて記載しても,相手方が承諾それをするかという問題を常に考える必要があります。

 

 例えば,自社が海外のメーカーから,独占的販売代理店として指名を受け,独占販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)を締結することになったとします。

 

 この際に,相手方から送られてきた「契約書」は,ごく簡単な内容で,自社が日本においてある商品について独占的な販売権を有する正式な販売代理店であるということを示すだけの,「証明書」(Certificate)のようなものだったとします。

 

 販売店としては,契約期間,独占権の具体的意味,商標やロゴの取り扱い,サンプルや販促資料の取り扱い,保証内容,契約不適合責任(旧瑕疵担保責任),製造物責任,最低購入数量の有無,リードタイム,在庫の処理,契約終了後の権利など,多くの事項について,自社に有利な取り決めをしておき,自社の権利を万全にしたいところです。

 

 ところが,海外のメーカーが出してきたものは,前述のように簡単なCertificateに近いものです。

 

 このような場合に,詳細な契約書を自社から提出したり,大幅に修正したり,相手方により詳細な契約書を要求したりすることは得策でしょうか。

 

 これは,ケース・バイ・ケースということになるでしょう。確かに,詳細な契約書を自社から出したり,相手方からもらって,検討することをすれば,自社に有利な条件を相手方に提案できます。
 

 しかしながら,簡単な内容のCertificateのようなものを提出してきたメーカーですから,詳細な条件を提示すれば,当然,「そのような権利を販売店が主張するのであれば,メーカーとしても,このような条件を守ってもらう」などと,カウンターで要求が来るはずです。

 

 また,相手方に詳細な内容を記載した契約書を提出するように求めれば,当然,相手方は相手方に有利な内容のドラフトを送ってくるでしょう。

 

 そうなると,それを自社に有利に修正し,再度提案するとなれば,交渉が難航し時間がかかることが容易に想定されます。

 

 したがって,常に自社の利益を最大限にプロテクトするよう,自社の権利をすべて主張するのが良いかと言われると,それは必ずしもそうではないということになります。

 

 交渉が長引いているうちに,海外メーカーがうるさいことを言わない,別の日本の独占販売店候補を探してきて,そちらと先に契約してしまえば,元も子もありません。

 

 したがって,その取引において最優先で守りたい権利は何であるのか,タイミングや取引の意義などに応じて,経営者としてビジネス上の判断をすべき場合もあります。

 

 いかなる場合でも,自社が守るべき権利をすべて記載した自社にとって完璧な契約書を求めるということになると,逆効果になることもありますので,この点は注意しなければならないでしょう。

 

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