英文契約書の相談・質問集134 日本の代表取締役は英語で何と表現すれば良いですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「日本の代表取締役は英語で何と表現すれば良いですか。」というものがあります。

 

 日本の代表取締役については,通常,Presidentと表記すれば問題ないと思います。

 

 なお,最近では日本の会社でも代表取締役社長のことをCEO(Chief Exective Officer)と表記することがあります。

 

 ちなみに,「代表取締役」というのは会社法で規定された地位ですが,「社長」というのは単にその会社が決めた役職にすぎませんので,会社法上の概念ではありません。

 

 そのため,理論上は「社長」の肩書があっても,代表取締役でもなければ取締役でもないし,執行役員でもないということはありえます(ただし,こういうことをすると取引相手がこの「社長」に代表権があると信じることにより様々なトラブルが起こることが予想されるのでお勧めしません。)。

 

 厳密にいうと,CEOという制度はアメリカのものですので,日本の会社法を前提にした日本の会社の代表取締役社長を英語でCEOと表記しても,アメリカの制度での理解とは一致はしないということにはなります。

 

 ただ,要は,契約書にサインをして,契約書の効力を有効に発生させ,その効果を会社に帰属させることができるか,つまり,会社を代理する権限があるかということが重要なのであり,タイトル(肩書)をどう名乗るかが重要なのではありません。

 

 そのため,例えば,英文契約書に,日本の会社の代表取締役社長が,タイトルとしてCEOと記載したからといって,契約が無効になったりすることはありません。

 

 アメリカでは,PresidentとCEOは区別された概念で使われていますが,ここではこの点の詳細な解説は省きます。

 

 アメリカの企業と取引する場合に,タイトルが,PresidentまたはCEOとなっていれば,通常は,その人は契約書を発効させる権限が与えられていると考えられる地位にあることになります。

 

 イギリスでは,日本の代表取締役のような,取締役会から権限を与えられている者の呼び方としては,PresidentでもCEOでもなく,通常は,Managing Director(MD)と呼びます。

 

 イギリスの企業と取引する際に,Managing Directorがサインをしていれば,通常は,その取引を有効に成立される権限を持っていると考えられます。

 

 なお,President,CEO,MDがサインをしても,その取引内容が取締役会決議を必要としているのに,実際には取締役会決議を欠いていたということがあると,法的な問題を生じる可能性があります。

 

 そのため,場合によっては,取締役会の承認決議があったことを示す,取締役会議事録を要求したり,その者が会社を代理して契約をする権限があることを示す委任状(Power of Attorney)などを要求したりすることもあります。

 

 重要なのは,肩書をどう書くかではなく,あくまで,署名者がその契約を締結する権限(代表権・代理権)があるのかどうかです。

 

 これは基本中の基本ですが,大切なことであるといえます。

 

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