英文契約書の相談・質問集137 契約書には権利として書くか義務として書くかどちらが良いですか。

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英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「契約書には権利として書くか義務として書くかどちらが良いですか。」というものがあります。

契約書を作成する際に,当事者の権利や義務を記載します。権利を書けばその裏に義務があり,義務を書けばその裏に権利があるのは当然のことです。

したがって,意味のない回答で申し訳ありませんが,どちらで書いても問題はありません。

ただ,原則として,どちらの方がわかりやすいかというと,おそらく義務として記載するほうがわかりやすいのではないかと思います。
 

例えば,The Seller shall have the right to receive the amount of USD XX from the Buyer...(売主は買主からXXドル受け取る権利を有する)というように権利として記載するより,The Buyer shall pay the Seller the amount of USD XX...(買主は売主に対しXXドル支払わなければならない)としたほうがストレートな表現として,理解しやすいのではないかと思います。

他にも,The Buyer shall be entitled to damages...として,「買主が損害賠償請求ができる」という権利を書いていると,「誰に対して」ということを書き入れずに表現してしまうということも起こりえます。

文脈から明らかな場合が多いので,「誰に対して」という記載がなくとも通常問題になることはないでしょうが,ここも,The Seller shall be responsible for loss or damage incurred by the Buyer...(売主は買主が蒙る損害について責任を負う)というように義務として書き出したほうが自然に誰に対しての部分も明らかになるように思います(あまり論理的な話ではないので恐縮ですが。)。

また,契約書では権利義務を記載していきますが,当事者の関心事としても,自社がその契約書で何をしなければならないのかというほうが一般的には気になるのではないかと思います。

もちろん,ビジネスをする以上,その契約でどういう利益(権利)が得られるのかというものも大切ですが,そうした利益を得る対価として自社は何をしなければならなくなるのかということにより関心があることが一般的のように感じています。

こうした観点からも,端的に義務を表していくほうが,当事者の関心事にも一致しやすく,端的で読みやすく理解しやすい契約書になるのではないかと思っています。

もちろん,書きにくい場合もありますし,権利として記載したほうが良い場面もあります。

そのため,常に義務として記載するほうが良いということではありませんが,どちらで記載しても問題ないと考えられる場面で迷った際には,どちらかというと義務として記載するほうが良いかなという程度の意味です。

→next【英文契約書の相談・質問集138】英文契約書で義務を表す用語はshallかwillどちらが良いですか。

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執筆 弁護士 菊地正登(第二東京弁護士会/片山法律会計事務所)

2003年弁護士登録。英国 University of Southampton のLL.M(法学修士)コースワークで英米法・国際取引法等を学び,ロンドンの法律事務所 Hill Dickinson LLP で実務経験。英文契約書・国際取引を中心に取り扱っています。プロフィール

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