英文契約書の相談・質問集139 取引先は知人の経営者で信頼できるので契約書はいらないですよね。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「取引先は知人の経営者で信頼できるので契約書はいらないですよね。」というものがあります。

 

 確かに,取引先の経営者と旧知の仲で,これまでも何回も取引をしたことがあり,自社の要求はたいてい受け入れてくれて,無理難題を言うこともないという関係であれば,トラブル自体が起きにくいため,契約書がなくとも,問題なく取引が続くということは現実問題としてあります。

 

 このことは,実は海外取引でも同じです。国内の取引よりも,海外取引のほうが紛争に発展する可能性が高く,また,実際に紛争が起きた場合の解決も困難な傾向にあることは間違いありません。

 

 ただ,こうした海外との取引であっても,経営者同士の仲が良く,口頭で独占販売権などが与えられているような状態で,問題なく契約を継続しているというケースもあります。
 

 しかし,こうした場合も,取引関係が長期に渡ってくると,危険性が高まってきます。

 

 なぜならば,時間の経過とともに環境が変化してくるからです。

 

 経済環境のような外部的な環境の変化によって,原材料価格が上がったり下がったり,ブームやトレンドが変化したことによって,今までの戦略・戦術が使えなくなってきたというようなときに,事業方針が合わなくなって問題が生じたりすることがあるのです。

 

 また,こうした外部環境の変化だけではなく,例えば,取引先が買収されるなどして,経営陣が交替するということもあります。

 

 そうすると,従前の経営方針がガラッと変わるということもよくあります。

 

 このような場合に,新経営陣が何をするかといえば,新たな経営方針に基づき改革を進められるかを検討するため,これまで締結していた契約のあら捜しをします。

 

 そこで,契約書がないと,「なぜ事実上独占販売権が与えられているのだ」とか,「これまでの業績では問題がある」とか,「ブランディング戦略を見直すので,一旦海外での販売は中止する」だとか,これまでになかった経営方針が取られ,それに従うように要求されることがあります。

 

 このような場合に,契約書がないと,「それは契約の内容上受け入れられない」とか,「こちらにはこういう権利があるはずだ」とか,そういった契約書に基づく主張ができないということになってしまいます。

 

 もちろん,法律を盾に何らかの主張をすることはできるでしょうが,法律はどこの国の法律を主張することになるのか,その法律は自社に有利な内容を規定してくれているかなどについても契約書で準拠法も定められていませんから,不確定であり一気に立場が不安定になってしまいます。

 

 私は,英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正などを業務として日常的に取り扱っていますが,必ずしも全件詳細な契約書を交わすべきだと思っているわけではありません。

 

 究極には人間関係やコミュニケーションが大切ですので,そこが完璧なのであれば,特に書面がなくとも円滑に契約が続くことは,私の経験からも現実にあります。おしどり夫婦のようなものです。

 

 ただ,企業がさらされている経営環境は刻一刻と速いスピードで変化していることも事実です。

 

 したがって,今はよくとも,将来,当事者が望まないところで,あるいは,当事者がコントロールできないところで,内部環境や外部環境が変化し,それによって,関係が従来とは異なることとなり,結果,これまでにない要求が取引先から出されるようになるということもあります。

 

 このような事態に備えて,やはり,最低限,上記のような変化が起きても,自社の権利が守られるような基本的な契約書は事前に作っておいたほうが安全ということになります。

 

 関係が良好なときに,契約書の作成を言い出しづらいという場面もあるかもしれませんが,上記のような内容をうまく伝えれば,書面の作成を拒否されるということはあまりないかと思います。

 

 信頼関係は大切な基礎ですが,それが当事者の望まない形で崩れたり,当事者がそもそも代わってしまうということがありえますので,この点は取引の初期段階から注意する必要があるでしょう。

 

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