英文契約書の相談・質問集142 英文契約書を印刷した後どう綴れば良いのでしょうか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「英文契約書を印刷した後どう綴れば良いのでしょうか。」というものがあります。
英文契約書を作成した後,それを印刷して当事者が紙にサインすることが多いと思います(電子署名などの方法もありますが。)。
契約書を印刷した場合,それをどのように綴れば良いのかという質問を受けることがあります。
和文の契約書の場合は,袋とじにしたり,ホチキス止めをした上で,割り印や契印を押したりすることが一般的かと思います。
袋とじをしたり,契印を押したりする目的は,まず,当事者が合意して完成した契約書に,余分なページを差し入れたり,ページを差し替えたりすることを防止するという点にあります。
また,割り印をするのは,当事者が例えば2人であれば,契約書を2部作成して1部ずつ保管というパターンが普通だと思いますが,その2部が同じものであることを示すために押印しています。
英文契約書でも同じようにしても特に問題はないです。
こうしなければならないという決まりはなく,要するに,きちんと契約書が法的効力を生じ,かつ,あとでトラブル(契約書の改ざん)が生じないような合理的な手段を取れば良いということだからです。
ただ,英文契約書の場合は,袋とじや,割り印・契印をするということは現実にはあまりありません。そのそも印鑑文化ではないことが多いので,割り印・契印の習慣がありません。
そのため,普通は,契約書を印刷した後,普通にホチキス止めをして,サインをするということだけで済ませています。
ただ,ページの差し込みや,ページのすり替えを防止するために,契約書の各ページの余白部分に,署名者のイニシャルサインをするということがあります。
もちろん,通常のサインを全ページにしても問題ないですが,単純に面倒ということが理由の一つで,イニシャルサインをすることがほとんどです。
例えば,私の場合は,Masato Kikuchiですので,MKがイニシャルになりますから,MKとサインをしていきます。
なお,イニシャルサインをする人は,必ずしも契約書の署名者である必要はありません。
契約書の全ページにイニシャルサインをする目的は,ページの差し替えなどを防止する点にありますので,契約書締結の決済権を持っている必要は必ずしもないからです。
そのため,イニシャルサインは,交渉を実際に担当した担当者が行い,契約書の締結のサインは会社の代表者がするということもあります。
また,ページ数を印字するときに,1,2,3ページという印刷表示ではなく,全体が10ページであれば,1/10,2/10,3/10ページという表記をすることもあります。これによりページの差し込みを防止したいという意図があります。
いずれにせよ,契約書の綴じ方について特に統一的なルールがあるわけではありませんので,大切なのは,その契約書に権限あるものが署名したことを証明できるようにしておくということと,契約書が不正に改ざんされないような工夫をしておくことです。
このことが達成可能なのであれば,特に決まった方法で行う必要はありません。最近はオンライン上で締結してしまうクラウドサインなどもありますが,そういう方法でも通常の契約では問題ありません。
また,印刷した契約書にサインしたものをスキャンしてPDFにして電子メールに添付して送信し,相手方も,同じように印刷してサインして,PDFにして送り返して締結することもあります。
上記とは別に,お互いがそれぞれ印刷して,サインしたものを相手方に送り(PDFで送ることもあります。),相手方も,自分で印刷してサインしたものを相手に送るという方法で契約を成立させるパターンもあります。
この後者による方法ですと,両者のサインが同じ契約書にされている状態にはなく,それぞれ相手のサインがあるものが自社の手元に送られてきているだけということになりますが,サインした契約書の交換があったことが証明できれば,意思表示の合致=契約の成立となるので問題ないわけです。
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