英文契約書の相談・質問集143 MOUやLOIでは法的効力はあるかないかのいずれかなのでしょうか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「MOUやLOIでは法的効力はあるかないかのいずれかなのでしょうか。」というものがあります。

 

 Memorandum of Understanding(MOU)やLetter of Intent(LOI)は,正式な契約書(definitive agreement)を締結する前に,その段階で当事者が目指している方向性などを記載して作成されることが多いので,一般的には法的拘束力がないと考えられています。

 

 ただ,法的拘束力があるかないかは,結局は内容次第ですので,Memorandum of Understanding(MOU)やLetter of Intent(LOI)というタイトルがつけられているから法的拘束力がないということではありません。

 

 そして,内容次第で法的拘束力があるかないかが決まる以上,Memorandum of Understanding(MOU)やLetter of Intent(LOI)の全部の条項が,法的拘束力があるかないかの,100かゼロかという話でもありません。

 

 もちろん,Memorandum of Understanding(MOU)やLetter of Intent(LOI)が全体として効力があるかないかという判断がされる場合もあるでしょう。

 

 ただ,場合によっては,Memorandum of Understanding(MOU)やLetter of Intent(LOI)の一部の条項については当事者を法的に拘束するが,その他については当事者を拘束しないという,部分的な判断になることもありえます。

 

 要するに,当事者が,その条項には強制力を持たせるという意図をもってその条項を記載したといえるかによって決まってくるわけです。

 

 もっとも,当事者がどの条項については強制力を持たせる意図だったのかというのは,事後的に振り返っても,証拠があるか,あったとしてどういう内容の証拠かなどの事情によって証明が難しいことがあります。

 

 したがって,予めMemorandum of Understanding(MOU)やLetter of Intent(LOI)に,具体的にどの条項が拘束力を有するのかが書かれていないと,あとで,当事者の法的拘束力の有無についての見解が異なることが判明した場合,当事者間でトラブルになる可能性が高くなります。

 

 そのため,予めMemorandum of Understanding(MOU)やLetter of Intent(LOI)に,どの条項が法的拘束力を有するのかを具体的に明記するのが安全ということになります。

 

 その際,Memorandum of Understanding(MOU)やLetter of Intent(LOI)の全体が法的拘束力を持つとか持たないとか記載することもできますし,全条項の中のどの条項とどの条項が法的拘束力を持つと一部の条項を指定することも可能です。

 

 このように,Memorandum of Understanding(MOU)やLetter of Intent(LOI)の法的拘束力の有無の問題は,常に100かゼロかで決まるものではない点は理解しておくとよいでしょう。

 

 なお,通常の契約書でよく登場するボイラープレート条項/一般条項に,分離可能性条項(Severability)というものがあります。

 

 これは,契約書の条項を一体的に見て,一部の条項が無効となるのであれば,契約書全体が無効だというように判断されないように,一部の条項が無効となっても,他の条項には影響しないということを明確にするために挿入するものです。

 

 場合によっては,契約が一体的で,契約書の条項の一部が無効になると,全体としての意味・効力を失うというように解釈される契約書もありうるので,そのような場合に,この分離可能性条項(Severability)は重要な意味を持つことになります。

 

 繰り返しになりますが,このように,契約書も含めて,法的な約束事は常に全体として有効か無効かが議論されるわけではないということは理解しておく必要があります。

 

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