In an amount equal to...(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,In an amount equal to...があります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「…に相当する額」という意味で使われます。
Equalはequivalentとされることもあります。
例えば,Seller shall pay Buyer as liquidated damagens in an amount equal to thirty percent (30%) of the total prices for the Products...(売主は,買主に対し,損害賠償の予定として,本件製品の代金の合計額の3割を支払う…)などとして使われます。
このin an amount equal to...という表現は,主として,金銭の支払金額について使用されるものですので,当事者の関心が高い内容が記載されている可能性が高いといえます。
また,この用語を用いて,支払額について記載がされている場合,それがどういう性質のものであるかをチェックすることが大切です。
商品の代金(Price of Product)なのか,サービスの対価(Service Fee)なのか,実費(Expense)なのか,損害賠償(Damages)なのか,損害賠償の予定(Liquidated Damages)なのか,違約罰(Penalty)なのかなどです。
金額だけは理解できるが,その支払いがどういう性質のものであるかが不明確である場合,その金額を支払っただけでは義務を果たしたことにはならず,その他の請求を許すことになったりする危険性があります。
こうしたリスクやトラブルを避けるために,金額が書かれていたら,金額だけを確認するのではなく,必ずその支払いが何についての支払いであるかもしっかりとチェックすることが大切です。
なお,英国法ではLiquidated Damages(損害賠償の予定)であれば有効とされますが,Penalty(違約罰)に該当すると無効とされています。
そのため,どちらに該当するのかという点でもチェックしなければなりません。
そして,何についての支払いかが不明確であったり,交渉時に合意していた内容と異なるということがあれば,当然,その部分を指摘して修正をかけて,正しい内容が明確に規定されるようにしなければなりません。
金銭の支払いに関する条項は,ビジネスにとって重要な意味を持ちますので,in an amount equal to...という表現が出てきた場合,その内容を精査して,自社に不利益が生じたり,自社の利益を逃したりすることがないように注意する必要があるでしょう。