英文契約書の相談・質問集147 英文契約書でifとwhenの違いは何ですか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「英文契約書でifとwhenの違いは何ですか。」というものがあります。
一般的には,ifは「ifの後に書かれた内容が起きるかどうかわからない」という場合に使用され,whenは「whenの後に書かれた内容がいつかはわからないけれども起きることが予定されている」場合に使用されるといわれています。
例えば,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)や商品の売買契約(Product Sales Agreement)などで,所有権(Title)の移転や危険負担(Risk of Loss)の移転について規定することがありますが,これらの規定にはwhenが使われることが通常といえます。
Title to and risk of loss of the Products will pass from Seller to Buyer when Buyer receives the Products at its warehouse in Japan.(本製品の所有権と危険負担は,買主が日本の倉庫で本製品を受領したときに,売主から買主に移転する。)などとしてwhenが使われます。
なぜwhenが使われるかというと,これからサプライヤーと販売店,売主と買主との間で,商品の売買が行なわれますから,商品の引渡しが行われることが予定されています。
そのため,商品の引渡し・納品は,いつ起きるかはわからないが将来確実に起きることとして,ifではなくwhenが使用されるということです。
反対に,英文契約書でよく登場する契約違反・債務不履行による解除の条項(Termination with Cause Clause)では,ifがよく使用されます。
なぜなら,契約違反をするということは,基本的に期待されていないわけで,契約違反は起きないほうが良いわけです。
こうした起きることが期待されていない(起きるかどうかわからない)場合には,whenではなく,ifが使用されることになります。
とはいえ,ifまたはwhenを使用すべき場合に,逆の用語が使用されていたとしても,意味は通じる場合が多いでしょうから,その誤りによって契約の内容に大きな影響を生じるということはまれだとは思います。
自社で契約書を作成したり,ドラフトしたりする場合は注意して用語を使用したほうが良いでしょうが,相手方から送られてきた契約書をチェック,レビュー(審査)する場合に,このifやwhenを事細かに指摘するということは不毛な場合もあるでしょうから,その場合には,意味がわかる範囲で許容するという選択もありうるかもしれません。
英文契約書用語は正確に使用したいものですが,英語ネイティブでなく,また,英文契約書を専門に扱うプロでない人にとっては,難しい場合もあります。
そのため,徹頭徹尾,細部にこだわるということよりも,当事者が合意した内容を漏らさず記載し,意図した意味が正確に伝わるようにするという大きな視点のほうがより大切かとは思います。
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