英文契約書の相談・質問集149 契約終了させるときには理由を書いた方が良いですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「契約終了させるときには理由を書いた方が良いですか。」というものがあります。

 

 契約を終了させるときの通知書に理由を書いたほうが良いかという質問ですが,結論からいうと,ケース・バイ・ケースということになります。

 

 例えば,契約書には,たいてい,債務不履行(契約違反)による解除条項(Termination with Cause Clause)が記載されています。

 

 ちなみに,債務不履行などの理由がなくてもいつでも契約を途中で解除できるという規定は,中途解約条項(Termination without Cause Clause)といいます。

 

 債務不履行解除の条項は,多くの場合,「相手方当事者に契約条項違反や財務状態の悪化など一定の事由があった場合に,契約を解除できる」という内容になっています。

 

 単に,契約違反があっただけではだめで,「契約違反を是正するように催告したにもかかわらず,一定期間是正がされなかった場合にはじめて解除できる」(催告解除)と定められていることもあります。

 

 仮に,自社が,相手方当事者の契約違反を理由に契約を解除したいと考えた場合には,どの条項に違反したということを指摘せざるを得ないと思います。

 

 解除の理由が契約解除の効果を得るための要件になっているからです。

 

 「この条項に違反したので,その違反を一定期間中に是正して下さい。さもなければ契約を解除します」というように通知書に記載して通知することになります。

 

 そのため,この場合は,契約終了の理由を告知することになります。

 

 他にも,前述したとおり,英文契約書には無理由での中途解約条項(Termination without Cause Clause)というものが設けられていることがあります。

 

 これは,「契約期間中であったとしても,一定の予告期間を設ければ,何らの理由なくいつでも契約を解除できる」という条項です。

 

 この場合は,理由なく解除できることになります。この場合にわざわざ理由を記載するかというと,記載しなくともよいかと思います。

 

 また,契約期間の定めがない場合に,この日に契約を終了させるという通知をする場合にも,準拠法にもよるでしょうが,理由が不要な場合もあります。この場合にもわざわざ理由を記すことはしないことがあります。

 

 なぜかというと,理由が要件となっていないのに,理由を記載すれば,その理由について反論を許す余地があるからです。

 

 理由なく中途解約ができると契約書に記載があったとしても,実際には,解約するほうの当事者に何らかの不満があって契約を解除することが一般的かと思います。

 

 その際に,理由を書いてしまうと,相手方当事者としては,「そんなことはない。自分は十分にやっている。」と思うでしょうから,反論してくることが考えられます。

 

 そうなると,いつの間にか,解除を主張した当事者の指摘する事実があったのかどうか,その評価は正しいのかどうかなどの議論に移ってしまうことがあります。

 

 これは,場合によって余計なことです。もちろん,交渉上いろいろな話をせざるを得ないということは理解できますが,あくまで法的には,言うべきことは端的に主張し,その効果を得るという姿勢も大切です。

 

 この視点からいえば,余計なことを言ったがために,余計な反論を受け,あらぬ方向に事態が進展するということにならないように,何が効果を得るために必要なのかを把握し,解除の理由が要件でないなら端的に法的権利とその効果の主張をして終わりにするということも時に大切といえます。

 

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