英文契約書の相談・質問集154 First Refusal RightとFirst Optionはどう違うのですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「First Refusal RightとFirst Optionはどう違うのですか。」というものがあります。

 

 First Refusal Rightについては,こちらの英文契約書用語解説記事でも解説しています。

 

 これらの用語は,例えば,合弁契約書(Joint Venture Agreement)や株主間契約書(Shareholder Agreement)などでよく登場します。

 

 株主Aと株主Bが合弁で事業をしていて,AかBのどちらかが自分が保有している株式を他に譲渡したいと考えた場合に,First Refusal RightとFirst Optionに関する条項でどのようにしなければならないかが規定されています。

 

 First Refusal Rightのほうは,例えば,「株主Aが第三者に自分が保有している株式をこういう条件で売りたい」とすでに買主の候補者がいる場合に利用される用語です。

 

 AがCさんという買い手候補者に,自分が持っている全株式50株を代金100万円で譲渡したいという話がすでにある場合は,まず,この条件をBに提案し,Bがこの条件でAの保有株式を購入するかどうかを最初に決定できる権利を,First Refusal Rightといいます。

 

 Refusalなので,直訳すると「最初に断る権利」という意味合いになりますが,Cに売るためには最初にBが購入を断らないといけないため,イメージが付きやすいかと思います。

 

 反対に,First Optionという場合は,買主候補は存在せず,単にAが「自分の保有株を第三者に売りたい」と思ったときに,まずBに提案し,BがAの保有株式を購入するかどうかを最初に決定する権利を指します。

 

 こちらはoptionと付いているので,選択肢というイメージです。Bに選択肢を最初に提供するとイメージすると理解しやすいかと思います。

 

 なお,First Refusal RightとFirst Optionは,通常,売買が成立するまで権利者が最初に買うか買わないかを選択する権利を持ち続けます。

 

 先ほどの例でいうと,AがBにオファーしたが,Bはその条件ではAの保有株式を購入しなかったとします。

 

 そのため,Aは自己保有株式をCに提案しました。ところが,Cはこの提案を最終的に受け入れず,売れなかったとします。

 

 その後,Dが現れ,AはDと話し合い,だいたいの条件が決まりました。

 

 すでに,Bには提案してBは購入を拒否していますので,今度はDに直接オファーして購入してもらえばよいかというと,そうではないことが一般的です。

 

 この場合でも,再度,Dへの提案条件をまずはBに提案し,Bがこれを蹴った場合に限って,Dに売ることができるということになります。

 

 このように,First Refusal RightとFirst Optionは,その権利を持つものが最初に購入するかどうかの選択権を持ち,それは,対象物が売れるまで続くという強い権利といえます。

 

 このようにかなり強い権利ですから,これらが与えられる場面は限定的ではあります。

 

 ただ,当然ですが,合弁契約書(Joint Venture Agreement)や株主間契約書(Shareholder Agreement)で与えられることが多いということであって,これらにおいてのみ与えられる権利ということではありません。

 

 例えば,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)などでも,「当初は契約対象になっていない商品が新たに生産された場合にそれも取り扱うようにするかどうかについて,最初に特定の販売店にオファーし,販売店が拒否した場合にはじめて他の販売店にオファーできる」という定めをすることもあります。

 

 また,他にも販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)では,「サプライヤーがこれまで販売店を指名していなかった地域に販売店を指名しようと考えた場合,従前の販売店が,その新たな販売地域も含めて販売展開することを選択するかどうかを最初に決定できる」などと定めることもあります。

 

 この場合は,従前の販売店が新たな地域での販売展開を拒否した場合に限り,サプライヤーはその地域で新たな販売店を指名できることになるというわけです。

 

 非常に強い権利ですので,付与する側は慎重に検討する必要がありますし,与えられる側としては利益が高い権利といえるでしょう。

 

→next【英文契約書の相談・質問集155】Entire Agreement(完全合意)条項は必ず入れますよね。

 

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