英文契約書の相談・質問集157 英文契約書でwillはどのように使えば良いですか。

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英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「英文契約書でwillはどのように使えば良いですか。」というものがあります。

Willも英文契約書ではよく登場しますが,どのように使用すべきなのでしょうか。

英文契約書でwillが使用された場合,「…をしなければならない」という義務を表していることがあります。

英文契約書で義務を表すのに使う英文契約書用語で最も一般的なのは,shallです。

ただ,willも義務を表す用語として使用されることがあります。

他にも,日常用語で使われる場合と同じ意味ですが,willは未来を表すときに英文契約書でも使用されます。

現在ではなく,未来に「…となる」というような表現をしたい場合に,このwillを使用することがあります。

注意したほうが良いのは,同じ英文契約書内で,義務を表す英文契約書用語としてshallとwillを併用している場合です。

Shallとwillをもし同じレベルの法的義務を表す全く同一の意味で併用しているとすると,問題が生じる可能性があります。

契約書を作成した当事者は,義務を意味する用語として全く同じつもりで使用していたとしても,あえてshallとwillの2つの単語が同じ契約書内で使用されているので,異なる意味を持っていると解釈される可能性があることになります。

論者によっては,willの義務はshallよりも弱いなどとしています。

そのため,同じ英文契約書内にshallとwillがあると,義務を負っている相手方から「willで表現されている義務はshallよりも弱いものだ」と主張される可能性があります。

「弱い」というのが具体的にどういう意味なのかということは問題ですが,場合によっては,契約違反の場合に,willで表記されている義務に違反しても,material(重大)な義務違反(material breach)とはいえないというような解釈がされるおそれはあるかもしれません。

例えば,英文契約書で「material breach of contract(重大な契約違反)の場合には契約を解除できる」と定められていた場合,willで表された義務に違反しても,それは軽微な違反であり,契約解除はできないという解釈がありうるということになります。

そのため,同一の英文契約書では,義務を表す用語としては,shallかwillのどちらかに統一したほうが良いかもしれません。

もちろん,あえて,弱い義務にはwillを使用し,それが同一契約書内で統一されていれば問題ないでしょう。

また,同一契約書内でwillは未来を表す用語として使用され,shallが義務を表す用語として使用されていて,これが統一されているという場合も問題ありません。

要するに,英文契約書の解釈が起草者の意図しない解釈になる可能性があるような使用方法はしないほうが無難ということになります。

もっとも,実際には,同一契約書内でwillとshallが併用されており,willも義務を表す場合の単語として使用されているということもあります。

義務の程度ということが特段問題になるような場合でなければ,このような併用も現実にはありますので,逐一指摘することはしないということもあるかもしれません。

実際の現場では,相手方との関係,取引金額や契約期間などが考慮され,どこまで契約書を作り込むかが変わってくる面があるのも否定できません。

ただ,無用な解釈論を引き起こさないよう,willの「正しい」使い方について理解はしておくと良いでしょう。

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弁護士 菊地正登(片山法律会計事務所)/相談・案件実績 2,931件

執筆 弁護士 菊地正登(第二東京弁護士会/片山法律会計事務所)

2003年弁護士登録。英国 University of Southampton のLL.M(法学修士)コースワークで英米法・国際取引法等を学び,ロンドンの法律事務所 Hill Dickinson LLP で実務経験。英文契約書・国際取引を中心に取り扱っています。プロフィール

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