英文契約書の相談・質問集158 債権の譲り受けなどが可能かはどう調べれば良いですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「債権の譲り受けなどが可能かはどう調べれば良いですか。」というものがあります。

 

 第三者から,ある契約上の当事者の地位や,債権を譲り受けるという場合,それを譲り受けられるのかどうなのか,事前に確認する必要があります。

 

 というのは,準拠法(その契約に適用される国の法律)によっても異なりますが,契約上の地位や債権の譲渡については,法律で原則禁止されていたり,譲渡する場合の要件を定めていたりする場合があるからです。

 

 また,法律ではなくとも,一般的に,多くの英文契約書において,ボイラープレート条項(一般条項)として,契約上の地位や債権を,相手方当事者の承諾なく譲渡できないとしている規定が見られます。

 

 そのため,契約上の地位や債権の譲り受けが本当にできるのかどうかは,譲受前に調査・確認する必要があることになります。

 

 準拠法が日本法ではなく,相手国や第三国の法律になっている場合には,場合によって,現地法の調査が必要になることがあります。

 

 この場合は,通常,現地の資格を有し,その分野を取り扱っている専門弁護士に相談することになります。

 

 また,自社が譲り受けようとしている契約上の地位や債権を有している企業と,その取引先との間の契約書も見る必要があるでしょう。

 

 ただ,契約書を締結した当事者には守秘義務が課されているでしょうし,契約書には取引条件に関する情報も載っているので,見せたくないこともあるでしょう。

 

 このような場合は,契約書全部を見せてくれないかもしれませんが,必要な箇所だけ見せてもらう,適宜マスキングして見せてもらうなどの工夫をしましょう。

 

 契約書の開示を受けたら,その契約書に契約上の地位や債権の譲渡を禁止する条項がないか,あるのであれば,譲渡を可能とする例外規定はないかをチェックします。

 

 通常,譲渡禁止の例外として,相手方当事者の書面による承諾が挙げられています。

 

 この場合は,さらに,自社が譲り受けようとしている契約上の地位や債権を保有している当事者の相手方当事者の承諾書を見せてもらうことが一般的でしょう。

 

 ここまで調査し,いずれの要件も充たしていて,相手方当事者の承諾書などの証拠書類も整っていれば,通常は譲渡を実行して問題ないでしょう。

 

 ただ,念のため,契約上の地位や債権を譲り受ける場合は,譲渡人との間の譲渡契約書において,譲渡人がその契約上の地位や債権を譲受人に譲渡することに何らの法的問題もないということを表明保証(Representation and Warranty)してもらい,その旨の条項を挿入することも,もちろん大切です。

 

 これにより,万が一,後でその譲渡に法的問題があり,譲渡が無効となるような場合には,譲受人は譲渡人に対して,表明保証(Representation and Warranty)違反として,損害賠償請求や譲渡契約の解除を主張していくことができる場合があります。

 

 このように,相手方がその法的な行為を行う際に,その行為を行う法的資格をきちんと有しているかを確認することは大切です。

 

 他にも,例えば,独占販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)を締結する際に,そのサプライヤーが自社に対して本当に独占販売権をその販売地域で付与する権利があるのかどうかを調査するということもあります。

 

 サプライヤーが,同じ販売地域においてすでに他の販売店に独占販売権を与えていた場合,その契約が有効であれば,上記の販売権付与は,すでに存在している契約内容に違反することになります。

 

 そのため,自社が紛争に巻き込まれることがないように,本当に自社に独占販売権を付与できるのかを調べることもあるのです。

 

 ただ,現実にはネットなどで調べるくらいしかできず,この調査は難しいことが多いです。

 

 なぜなら,契約書を見せて欲しいと言ったところで,サプライヤーは独占権を渡せるという認識でいる場合,それと正面から矛盾する契約書を出すことは考えにくいからです。

 

 これは,故意に隠しているということも中にはあるでしょうが,現実に忘れているということもあります。

 

 また,サプライヤーとしては,解除したつもりでいるが,販売店はそう認識していないということもあります。

 

 この場合は,契約書を出してもらい,さらに,解除通知書も見せてもらって,解除について法的に問題なさそうかを現地の弁護士に確認する必要があることもあります。

 

 さらに,サプライヤーと販売代理店との間に契約書が存在しないこともあります。

 

 この場合でも,過去の判例などに照らし,現在の販売代理店が総販売代理店として独占販売権を持っているという法的な状態にあると認められるということもあるので,注意しなければなりません。

 

 調査が難しい場合には,できるところまで調査して,後は,先ほどの例と同様に,サプライヤーに,その販売地域において自社に独占販売権を付与することに問題がないことについて表明保証(Representation and Warranty)をさせて,万が一に備えるということになるでしょう。

 

 このように,自社が想定している権益を取引先から問題なく得られるかどうかは,事前に調査したほうが良いことがありますので,注意が必要です。

 

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