英文契約書の相談・質問集161 独占交渉権とは何ですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「独占交渉権とは何ですか。」というものがあります。

 

 独占交渉権は,M&Aに関する交渉段階で,Letter of Intent(LOI)やMemorandum of Understanding(MOU)(いずれも「予備的合意書」または「覚書」などと和訳されます)などにおいて,定められることが多いものです。

 

 要するに,「当事者は,一定期間はその案件について第三者と交渉してはならない」という優先的な交渉権を定めるものです。

 

 これは,M&Aに関する交渉に登場することが多いですが,他のビジネスの交渉にももちろん使うことが可能です。

 

 ただ,優先交渉権についての定めが契約書や予備的合意書(覚書)に存在すると,定められた期間中は,第三者と交渉することが禁止されるため,当事者には足かせになります。

 

 そのため,優先交渉期間があまり長すぎると,日本法でいうところの公序良俗違反などにより無効と判断される可能性もありますので,期間が合理的な範囲内であるかはチェックが必要です。

 

 例えば,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)について,独占販売権(Exclusive Sales Right)を取得できるように,日本企業が外国企業と交渉するとします。

 

 こうした,独占権については,先に取得した者勝ちの側面がありますので,早く交渉し,結論を得なければなりません。

 

 私の経験でも,実際にタッチの差で,別の企業に独占販売権を取得され,後からメーカーに問い合わせた企業は涙を飲んだという事例もあります。

 

 そのため,スピードが重要なのですが,日本企業側も最低購入数量や契約期間等,重要な内容についてそれなりに慎重に意思決定しなければいけません。

 

 とはいえ,あまりもたもたしていると,水面下で海外メーカーが別の日本企業とも交渉をし,そちらとの条件交渉が早期にまとまってしまい,そちらに独占権を渡してしまったとなれば,目も当てられないということになります。

 

 大陸法と呼ばれるヨーロッパ大陸の法律体系から成り立っている国(日本もそうです)では,「契約締結前の過失」や「契約準備段階の過失」という議論に代表されるように,一度交渉の関係に立った以上は,ある程度信義誠実の原則に則って交渉を行う(Good Faith)必要がありますので,あまり理不尽なやり方のときは,メーカーへの損害賠償請求が可能ということになるかもしれません。

 

 ただ,それでは根本的な救済になりませんし,英米法の国では,そもそもそのような誠実交渉義務がないということもありますので,出し抜かれることが不利益であることは間違いないでしょう。

 

 こうした場合に備えて,秘密保持契約書(Non-Disclosure Agreement)や,LOI,MOUなどを利用して,契約締結前の事前交渉において,独占的な交渉期間を設定し,交渉が続いている間は第三者と交渉はできないと取り決めることが考えられます。

 

 このようにしておけば,少なくとも優先交渉期間中は,他の第三者に独占販売権を奪われるかもしれないというおそれの中で,拙速に意思決定をしなければならないという事態は回避できます。

 

 なお,LOIやMOUについては,法的拘束力がないと一般に理解されています。

 

 そのため,優先交渉権に法的拘束力を持たせるためには,少なくとも,「優先交渉期間中は第三者と交渉できない」という条項については,法的拘束力を有する(legally binding)という旨を明記しておいたほうが無難です。

 

 NDAでは,法的拘束力のある約束をすることが通常ですので,NDAにおいて上記のような優先交渉権について定めた場合は,通常は,法的拘束力が認められると思われます。

 

 独占販売権を伴う販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の交渉はタフなものとなる場合が多いので,ある程度時間がかかることが通常です。

 

 そのため,あまり事例としては多くないかもしれませんが,必要に応じて,交渉段階で優先的な交渉権を与えてもらい,冷静に条件交渉を進めるというのも良い方法かと思います。

 

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