英文契約書の相談・質問集163 相手方から契約書の修正案が来たのですがどうすれば良いですか。

 

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「相手方から契約書の修正案が来たのですがどうすれば良いですか。」というものがあります。

 

 

 英文契約書を自分で作成して,相手方に提示した場合,相手方のほうでも英文契約書をチェック,レビュー,審査します。

 

 

 そして,相手方のほうでも英文契約書に修正をかけたりして,相手方が受け入れられるという内容についてフィードバックしてきます。

 

 

 自社が相手方のフィードバックを受け取った場合,当然ですが,どこをどう修正してきたのかを確認する作業から始めます。

 

 

 通常は,ファイルに何らかの修正履歴をつけてきますので,それを確認すれば大丈夫だと思います。

 

 

 まれに,修正履歴をつけず,どこを削除したり,修正したりしたのかわからない状態で返却してくるところもあります。

 

 

 こうした企業は,信頼性に問題があることがあります。一度,修正履歴を付けて再送するように依頼しても良いかと思います。

 

 

 そして,そのような企業については完全に信用せず,自社でもワードファイルの比較機能などを利用して,どこを修正したのか確認することをおすすめします。

 

 

 たまに,不誠実な会社や,騙そうとしている会社などは,あえて,修正履歴をつけつつ,修正履歴のない箇所にも修正を施しているということがあるからです。

 

 

 私の経験でも,このような方法で,契約書の報酬金額などの重要な部分を修正したことを明言せずに黙って変更してきたケースが実際にありますので,十分に注意して下さい。

 

 

 なお,自社が契約書を修正する場合には,このような姑息な方法は取らないことをおすすめします。

 

 

 そもそも,このような方法で相手が気づかずにサインしたような場合,内容についてあとでクレームを入れられ,トラブルになる可能性が高いです。

 

 

 自らトラブルになるような火種を残すようなことは控えるべきでしょう。

 

 

 また,このようなだまし討のようなことをすれば,法律や判例で相手方が救済される可能性もあります。

 

 

 そもそも,このような不誠実な交渉をしてくる取引先とは長期のビジネスを望めないと考えられてしまうこともありますので,あくまで交渉は誠実にすることをおすすめしています。

 

 

 話を元に戻します。このようにして,相手の修正箇所を確認できたら,今度は,自社が相手方の削除・修正の要求に応じられるかどうかを検討します。

 

 

 当然ですが,相手方が削除・修正してきた箇所は,相手方としてはオリジナルのままでは受け入れがたいという意思表示をしてきた箇所になります。

 

 

 そのため,交渉を前にすすめるためには,これは自社として絶対に譲れないという箇所でない限り,できるだけ相手方の要望を実現する方向で検証するのが正しいと思います。

 

 

 そうしないと,いたずらに交渉期間が延びてしまいますし,最悪失注ということになりかねないからです。

 

 

 できるだけ受け入れるという姿勢で検討する場合,実質的にオリジナルの内容を無意味にしてしまうような大きな変更になっているか,それとも,条件が加わった程度で,大きな内容の変更にはなっていないかという視点を持つと良いと思います。

 

 

 また,相手方が要求してきた内容が,その業界の取引慣行から「さもありなん」という常識的・合理的な変更要求かどうかという視点も持ったほうが良いと思います。

 

 

 海外取引・国際取引において「一般的にはこうだ,このレベルの内容を受け入れられるのが普通だ」という内容が実務的にはあります。

 

 

 その範囲内に収まった要求なのであれば,要求を受け入れたほうが無難かもしれません。

 

 

 相手方としても,常識的な変更要求をしているだけなのに,受け入れられないとなると,交渉が決裂したり,平行線をたどったりしてしまうということになりやすいからです。

 

 

 もし,実質的にオリジナルの条項が無意味になっているような修正があれば,それは無効化された条項がどの程度重要かを検討することになります。

 

 

 そして,代替案を提示していくことになります。

 

 

 なお,オリジナルの条項が削除されてしまった場合には,法律がどうなっているかを考えることも大切です。

 

 

 例えば,損害賠償請求の規定が削除されたという場合,その契約書の準拠法が日本法であれば,日本の法律ではどのような条件で損害賠償請求ができるのかをチェックします。

 

 

 そして,日本の法律の下,一定の要件を充たせば損害賠償請求が可能なのであれば,特に「損害賠償責任を免責する」とまで契約書に書き込まれていなければ,賠償請求の条項を削除したとしても,法律によって損害賠償請求が可能と考えられます。

 

 

 そうであれば,相手方の削除の要求を受け入れても問題ないという判断がありえるわけです。

 

 

 また,これはややテクニカルなことで,いつもこうしたほうが良いということではないのですが,自分が英文契約書を作成する際には,できるだけ自社に有利な契約書を最初に提示するということをあえてすることもあります。

 

 

 もちろん,この方法を取ると,相手方の検討事項が増え,修正事項も増えて時間がかかるというデメリットもあります。

 

 

 ただ,メリットとしては,こちらの最大限の要求をぶつけることにより,相手のフィードバックも多くなり,こちらが譲歩の姿勢を示しやすくなるという点があります。

 

 

 いつもこのようにうまくいくわけではないですが,相手方の修正事項が2つしかない場合と,10箇所ある場合とでは,この修正は受け入れられないと相手方に突き返すのはどちらが容易でしょうか。

 

 

 普通は,10箇所ある場合のほうが突き返しやすいかと思います。

 

 

 2箇所しかないと,1つでも突き返せば,半分突き返したことになりますが,10箇所あれば,3箇所突き返しても,7割も要求を飲んであげているということになるからです。

 

 

 小手先の話なので,本質的な内容ではないのですが,このような方法を取ったほうがうまくいく場合もあることは事実です。

 

 

 まとめると,相手方から契約書の修正案が送られてきた場合,まずは,@どこが削除されたり修正されたりしたのかを把握し,Aできるだけ相手方の要望を受け入れる方向での検証をするということが基本だということになります。

 

 

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