英文契約書の相談・質問集164 Inspection/testとは何でしょうか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「Inspection/testとは何でしょうか。」というものがあります。

 

 Inspection/testは,英文契約書で使用される場合,通常,「検査・検収」という意味で使用されます。

 

 販売店契約書(Distribution/Distributorship Agreement)や売買契約書(Sales Agreement)では,商品の売買について規定されます。

 

 売主が,ある商品を買主や販売店に対して販売する際,このinspection/test(検査・検収)が問題になります。

 

 売主が買主に商品を引き渡した後,買主はこれを検査し,商品に問題がないか,注文した商品が届いているか(品違いはないか),発注量があっているかなどを検査します。

 

 Inspectionの方法や,どこまで行うかは,契約ごとに異なりますが,一般的には,ここでは外から見てわかる異常だけをチェックするということになると思います。

 

 ただ,もし商品が機械などであれば,動作テストもするでしょう。

 

 また,商品が食品など消費してしまうものであれば,サンプルとして,商品カテゴリーごとにいくつかをピックアップして食べてみるということもあるでしょう。

 

 いずれにせよ,商品を納品した後の検査・検収については,その方法と時期,商品に問題があった場合にいつまでに報告がされなければならないか,などについて契約書に定めておくのが安全です。

 

 場合によっては,Inspection/testは,売主が出荷前に行うのみで買主は行わないと規定されたり,第三者が行うと規定されたりもします。

 

 そして,このinspection(検査・検収)で商品に問題が見つかった場合には,売主がいつまでにどのように是正をするか(remedy)についても契約書に記載するのが通常です。

 

 救済方法(remedy)や時期について契約書に記載がないと,売主としては,どのような要求を買主からされるかがわからず,不安定な地位に立たされますし,買主としては,どのような手当がいつまでになされるのかが曖昧になってしまうため,紛争の火種になってしまいます。

 

 海外取引に限らず,取引において曖昧さが残ると,あとで自分の理解と違う主張を相手方から受ける可能性が生じます。

 

 この「自分と違う理解の主張を相手から受ける」ということ自体が損害と考えるべきです。相手方と英文契約書の条項の解釈について議論したり,説得しようとしたりしなくてはならなくなり,これ自体が時間やストレスがかかるコストだからです。

 

 仮に,最終的に自分の主張が通ったとしても,議論で時間を使うこと事態がすでにマイナスですので,できるだけこのようなことは避けなければなりません。

 

 具体的には,①返品を受けて問題のない商品と交換する(replacement),②代金を減額する(reduction),③修理する(repair)などの方法が考えられますので,このような内容を英文契約書に記載します。

 

 また,これらの救済措置をいつまでに行うのかという時期についても記載しておいたほうが良いかと思います。

 

 ちなみに,inspection/test(検査・検収)の後に,問題が発覚したら速やかに対応するということですと,売主の負担が大きい場合があります。

 

 商品に問題があった場合,通常,返品や交換にかかる費用は売主が負担することになります。

 

 そのため,例えば,問題が見つかった商品の数が少なかった場合,これらの商品についてすぐに交換すると定めておくと,少数ロットのために再度海上輸送でコストがかかり割高になるということがありえます。

 

 こうしたことを回避するには,英文契約書において,例えば,次回の発注時に問題が見つかった商品についても新たな商品を追納する(実際には,前回問題のなった発注数分は今回の受注金額から差し引く)という対応を記載することもあります。

 

 なお,inspection(検査・検収)では,通常,外から見える問題しかチェックできないので,使ってみてはじめてわかる欠陥(隠れたる瑕疵:latent defect)などは,検査を通過してしまいます。

 

 そのため,inspection/test(検査・検収)を通過しても,その後に欠陥が見つかったような場合は,別途売主が救済措置(remedy)をとると契約書に定めることがあります。

 

 これは,英文契約書では,通常,warranty(保証)という条項で規定されています。

 

 この場合,売主としては,保証する期間を定めることが大切です。

 

 理論上,商品に欠陥が見つかる可能性がある期間は,「永遠」ということになってしまいます。

 

 そうなると,売主はクレームが無限に来る可能性がありますし,長期間の保証となるとそもそも欠陥が当初からのものなのかどうかも判別できないことにもなります。

 

 そのため,製品にもよりますが,通常6ヶ月から3年程度の保証期間が設けられることが多いです。

 

 このように,inspection/test(検査・検収)というのは,商品に問題がないかをチェックし,問題が合った場合,どのような救済(remedy)を,いつまで,どのような条件で得ることができるのかという重要な内容を含んでいますので,注意が必要です。

 

→【英文契約書の相談・質問集165】隠れたる瑕疵(Latent Defect)とは何でしょうか。

 

 

 

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