英文契約書の相談・質問集168 販売店契約を解除する際には理由は多いほうが良いですよね。

 

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「販売店契約を解除する際には理由は多いほうが良いですよね。」というものがあります。

 

 

 例えば,日本のメーカーが,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を海外の販売店(Distributor)と締結していたとします。

 

 

 ところが,販売店(Distributor)のパフォーマンスがよくなく,別の販売店(Distributor)を指名して商品をもっと販売展開したいと考えたとします。

 

 

 その場合,中途解約条項(Termination without cause)があったり,期間満了日が近いという事情があったりすれば,これらを根拠にして販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を中途解約や期間満了により終了させるという方法があります。

 

 

 他方で,上記のような事情がなければ,販売店(Distributor)の債務不履行・契約違反を理由に契約を解除することになるのが普通です。

 

 

 では,この場合,販売店(Distributor)の契約違反と思われる事情を挙げれば挙げるほど良いのでしょうか。

 

 

 明確に違反しているといえて,その違反の事実が契約にとって重大=material(些細なものではない)なのであれば,すべて挙げても問題ないと思います。

 

 

 ただ,明確には契約違反といえるかどうかわからない内容であったり,違反が軽微な内容であったりした場合には,それらにはあえて触れずに,明確な違反で,その違反の程度が大きいというものに絞って主張したほうが良い場合もあります。

 

 

 前者の「明確に違反といえるかどうかわからない」というのは,例えば,販売店(Distributor)が商品を販売展開するのに,best efforts(ベストエフォート)(最大限の努力)しなければならないとか,メーカーの商品のブランドイメージを損ねないように販売展開するとか,そのような程度の問題と考えられるような内容が典型例です。

 

 

 これらについて,例えば,広告宣伝が足りていないとか,販売実績が少ないなどといって,best efforts(ベストエフォート)(最大限の努力)義務に違反していると主張してみても,販売店(Distributor)としては,いろいろ数字やコストを示してきて,「うちとしては最大限努力している」と反論してくると思います。

 

 

 また,メーカーや商品のブランドイメージ毀損しているというのは,立証が難しいです。

 

 

 なお,契約違反の事実はあるがそれを裏付ける証拠がないという事実も主張する避けたほうが良い場合が多いです。

 

 

 立証ができないとか,証拠がないという内容を主張しても,「証拠がない」と反論されれば,それ以上,進めようがないということになってしまいます。

 

 

 こうなると,決着が難しくなってしまい,裁判しか道はないという話になりかねません。

 


 それよりも,代金の支払い期日を何回か遅延したとか,最低購入数量(Minimum Purchase Quantity)(ミニマム/ノルマ)を達成できなかったとかいう,客観的に証明可能な事実を突きつけることが重要です。



 客観的に証明できる事実は,相手は事実がないとか証拠がないという理由では反論ができません。できるのは言い訳くらいのものです。



 言い訳に対しては,「事情はわかりますが,それは言い訳に過ぎず,実際事実として契約違反をしてしますよね」と突き返すことが可能です。



 もちろん,それですんなり引き下がる相手ばかりではなく,ああだこうだと交渉が長引くこともあります。



 ただ,相手も,事実が動かせないことは理解することが多いので,言い訳はしつつも,最終的にはこちらの要求に沿った解決ができる可能性が高まります。



 この場合に,メーカーが感情的になり,これも言いたい,ここもダメだった,この部分も最初の話と違ったと,たくさん言いたいとなってしまうと,問題を生じることがあります。



 このような,明確に契約違反とはいえず,程度問題である,または,立証ができないという内容を余計に伝えてしまうと,相手は嬉々として,この部分に「反論」してきます。



 そうすると,それらの反論を全部潰さなければ契約を解除できないかのような「雰囲気」が出てきてしまい,解決が遅れることがあります。



 メーカーが,契約終了に向けた説得材料は多いほうが良いと考え,いわば枝葉末節の部分をあえて提示したばかりに,相手の反論を誘い,交渉が長期化するということがありうるのです。



 企業同士の交渉といえども,実際に交渉するのは人間同士ですから,自分が感情的になれば相手もそれに反応して感情的になってしまうものです。こうなると余計な内容の交渉が行われ時間ばかりかかります。



 そのため,このような交渉においては,証明できる客観的で重要な事実一つで十分,量より質であると考えて置いたほうがうまくいく場合が多いかと思います。



 言い訳はさせても良いですが,正面からの反論をさせてしまうと,メインの土俵ではないところで,不要な相撲をとらされるということになりかねませんので,注意が必要です。

 

 

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