英文契約書の相談・質問集216 品質クレームをしてもメーカーの国では売れると言われます。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「品質クレームをしてもメーカーの国では売れると言われます。」というものがあります。

 

 日本企業が販売店(Distributor)として,海外メーカーとの間で,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を締結し,日本国内で海外メーカーの商品を販売展開していくというような場合に,日本企業が受領した商品の品質に問題があることがあります。

 

 例えば,送られてきた商品のパッケージや商品自体にプリントされたデザインがずれていたとしましょう。

 

 そうなると,販売店(Distributor)としては,これではアウトレット品,セカンド品になってしまいますので,メーカーに対し,品質に関するクレームを入れることになります。

 

 ところが,海外メーカーは,これを品質の問題ととらえないことがあります。

 

 日本では,プリントがずれているというだけで,まともな商品としては売れなくなってしまい,アウトレット品,セカンド品になってしまうということがあっても,メーカーの国の市場では,普通に正規品として販売して売れるという事情があることがあるのです。

 

 こうなると,日本では,プリントがずれている商品は,品質に問題がある欠陥品として,メーカーに交換してもらう,返品するなどの対応が可能であっても,海外メーカーにしてみれば,それは日本の特殊事情であり,一般的にこれは欠陥品ではないから,クレーム対応はしないとなってしまいます。

 

 この場合,当然ですが,日本市場の「常識」について丁寧に説明して,理解を得て,返品を受け付けてもらうようにするのが,第一にすべきことなのですが,上記の理由を述べられて堂々巡りになることもよくあります。

 

 「欠陥」に入るか入らないのかの根本的な考え方が違っているので,日本の基準で説得しようとしても,相手の納得を得るのは難しいわけです。

 

 このような「欠陥」の場合,工場のラインに問題がある可能性が高いので,今回の注文分だけに生じるのではなく,発注ごとに毎回何割かはこのような商品が混ざっているということになってしまいます。

 

 そうなると,注文のたびに毎回ロスが生じることになりますので,利益を得るためには小売価格を値上げして調整する他ないという事態になりかねません。

 

 それでは,お客様が離れてしまうということもあるでしょうから,重大な問題です。

 

 長期的に粘り強く交渉して,製造工場を変えてもらうとか,OEMで自社の契約する工場で製造させてもらうとか,根本的な対応をしてもらわなければ,同じ問題が継続するということになってしまいます。

 

 契約締結前のサンプル品の検査だけでは,このような問題は確認できないこともよくあります。

 

 このような事態を避けるためには,事前に販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)において,品質の基準について細かく合意しておくという対策が考えられます。

 

 プリントのずれも欠陥に含むことを明記し,その場合の救済方法(Remedy)(1.商品の交換,2.代金返金など)について合意しておくという対応です。

 

 また,この合意は難しいと思いますが,検査(Inspection)の合格基準は,日本の商慣習による標準的な基準を適用して合格・不合格を決定し,不合格の場合は,1.商品の交換,2.代金返金などの対応をしてもらえると合意することも考えられます。


 このように,一般に,日本の消費者は品質に厳しいといわれていますので,品質基準について事前に細かく合意をしないと,外国の基準・感覚とずれていて,あとでトラブルになることがあります。

 

 また,一部の商品では,日本の輸入審査基準が海外に比べて厳しく,海外メーカーの商品が予定していたほど輸入できないというトラブルもよくあります。

 

 ちなみに,EU圏内の国なども特に食品などの輸入規制は非常に厳しいので,日本企業が輸出側に回る際には注意が必要です。

 

 事前にサンプル検査をすることは当然として,サンプル検査だけでは,すべての品質を管理することはできませんので,上記のように販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の中で合意をするなど,品質基準についても事前に議論をしておくことをおすすめします。

 

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