英文契約書の相談・質問集172 最低購入数量未達の場合に独占権を奪うとの内容に注意点はありますか。

 

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「最低購入数量未達の場合に独占権を奪うとの内容に注意点はありますか。」というものがあります。

 

 独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)を締結している場合,通常,最低購入数量(Minimum Purchase Quantity/Amount)が定められます。

 

 

 最低購入数量(Minimum Purchase Quantity/Amount)とは,一定期間に,販売店(Distributor)がサプライヤーから購入しなければならないノルマを指します。



 単に「ノルマ」とか「ミニマム」と呼ばれたりもします。

 

 

 販売店(Distributor)の取引数量・金額がこの最低購入数量(Minimum Purchase Quantity/Amount)を下回ってしまうと,販売店が何らかのペナルティを受けると契約書に定められるのが通常です。

 

 

 サプライヤーが英文契約書を作成する際に,最低購入数量(Minimum Purchase Quantity/Amount)未達の場合のペナルティとしてよく選択されるのが,下記の3つの選択肢です。



@独占販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)自体を解除する,


A独占販売権を奪い,非独占販売店契約(Non-Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)にする,


B最低購入数量(Minimum Purchase Quantity/Amount)に不足した分の金額を賠償させる


の3つです。

 

 

 今回の質問は,英文契約書を作成する際に,このペナルティのうちAを選択していた場合に,問題がないかということです。

 

 

 もし,販売店(Distributor)が一定期間中に最低購入数量(Minimum Purchase Quantity/Amount)を超過して商品を購入することができなければ,販売店は独占販売権を奪われてしまうということになります。

 

 

 これが販売店(Distributor)にとって不利益だということは明らかです。

 

 

 そうではなくて,ここでは,サプライヤー側に不利益がないかということがテーマです。

 

 

 サプライヤーとしては,独占販売権を奪えるのであれば,奪った後はその販売店(Distributor)が販売している地域内で,別の販売店を指名しても良いということになりますので,ペナルティとして有効だと考えます。

 

 

 ただ,一つ気をつけなければならない点があります。

 

 

 それは,独占販売権を奪うことで,他の販売店(Distributor)を,非独占的販売店契約(Non-Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)としての販売店として指名することができるにとどまるということです。

 

 

 つまり,別の販売店(Distributor)を,独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)としての販売店として指名することはできないということです。

 

 

 新しい販売店(Distributor)候補としては,独占販売権をもらえる契約である独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)を望んでいることが多いです。

 

 

 ただ,ノルマ未達のペナルティとして旧独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)が,非独占的販売店契約(Non-Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)に変更されても,まだ契約期間が残っていれば,その残りの期間は,旧販売店(Distributor)は,非独占の販売店としてサプライヤーから商品を購入し販売することができます。

 

 

 そうなると,新しい販売店(Distributor)候補としては,旧販売店がいる限り,自社が市場独占という本当の意味での独占販売権を得ることができないので,交渉が難航するということが起こります。

 

 

 もちろん,「旧販売店(Distributor)は,例外的に契約終了までサプライヤーから購入できるが,サプライヤーはその他の会社には商品を一切卸さない」という条件(旧販売店の存在はあくまで一過性のもの)で,新販売店と契約できることもあるでしょう。

 

 

 しかし,最初から完全な独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)にならないということで,交渉を打ち切る販売店(Distributor)候補もいます。

 

 

 この点が,最低購入数量(Minimum Purchase Quantity/Amount)未達の場合のペナルティとして@契約自体の解除を選択した場合との違いです。



 @の場合には,独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)自体を終了させることができるため,終了と同時に別の販売店(Distributor)との間で独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)を締結できます。

 

 

 もちろん,契約には相手がいる以上一方当事者の思惑どおりには進みませんので,常にペナルティが重いほうが良いというわけではありません。



 ただ,ミニマム未達の場合のペナルティとして独占販売権の剥奪を選ぶ際にはこのような注意点がありますので,サプライヤーの立場で英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際には,この点の不利益を考慮しておく必要があります。

 

 

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