英文契約書の相談・質問集175 もめている内容で協議があるのですが合意書案を持参すべきですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「もめている内容で協議があるのですが合意書案を持参すべきですか。」というものがあります。

 

 契約を締結して取引を行っていると,取引先との間でいろいろと問題や見解の相違のようなことが出てきます。

 

 特に,取引先の経営陣が交代したりすると,経営方針が変わり,これまで問題なく取引をしていたのに,急に取引条件を変更してきたり,急激な値上げをしてきたりなどトラブルになることがあります。

 

 M&Aなどがあると,株主が交代して経営陣が変わるので,こうしたことはよく起こります。

 

 反対に,取引先ではなく自社側が買収されて経営陣が変わった場合にも,これまでの取引の見直しなどがされてトラブルが引き起されることがあります。

 

 このように問題を生じた場合は,まずは話し合いをして,円満に解決することを目指します。

 

 その際,顧問弁護士と相談しながら,自社が譲れない内容を確定しつつ,交渉の落とし所を探り,このような取引条件で改めて合意したいと考えたとします。

 

 この場合,合意書案を作成できる段階にありますので,合意書案を作成して,持参し相手方との交渉に臨むべきでしょうか。

 

 これは,タイミングの問題で,ケース・バイ・ケースといえるでしょう。

 

 一応,注意したほうが良いのは,交渉の場合,もちろん自社の見解はまとめておき,交渉の場に臨むべきですが,相手方もいろいろな事情がある中で,提案をしてきます。

 

 そして,お互いの意見を述べて,妥協できるところを探り,結論に至るというのが交渉ごとです。

 

 それにもかかわらず,相手方と合意がないままに,合意書案を自社で作成し,持参して相手方に見せてしまうと,「話し合う気がない」,「すでに結論を決めて持ってきた」という印象を与えてしまうことがあります。

 

 そのため,合意書案を提案するタイミングは,相手方と大筋で方向性が合意できているときにしたほうが適切な場合があります。

 

 ある事項でもめているというのは,企業同士といえども,背後には人間がいますから,感情を無視することはできません。

 

 お互い,言いたいことを言ってはじめて,理解し合え,「雨降って地固まる」という側面があることは否定できません。

 

 それにもかかわらず,協議後に,「それではこちらに合意書案がありますので,こちらにサイン頂けますでしょうか…」となってしまうと,最初からシナリオが出来上がっていてそれを押し付けに来たのかと,相手方が不信感を持つということがありうるのです。

 

 自社の利益を法的に確保したい,なるべく早期に明確な形で事態を収束させたいという気持ちはわかりますが,交渉ごとは常に相手方がいるので,自社の都合を押し付けるような形にならないように注意したほうが良いでしょう。

 

 そうしないと,「話し合う気がない」「こちらの話を聞く気がない」と取られてしまう可能性があり,たとえその場はうまく合意できたとしても,その後の信頼関係に悪影響を与えることもあります。

 

 企業同士であるとはいえ,中長期のビジネス関係に立った場合には,背後に人間がいることを忘れず,お互いの立場をある程度尊重し,自社の利益ばかりを追求するのではなく,両当事者一緒に協力してビジネスを大きくしていくという発想も大切です。

 

 自社の利益を確保できさえすれば良いと考えていると,どうしても,相手方と協同関係ではなく利益相反の関係になり,長続きしないということになってしまいます。

 

 紛争状態になった場合は,相手方の感情面にも配慮して,多少時間をかけてでも,お互いが「すっきり」として結論に至れるようにすることがときには大切です。

 

 紛争になるとどうしても近視眼的になりがちですが,「急がば回れ」の精神で,粘り強く交渉し,紛争解決後の中長期を見据えてビジネスを成長させていくという視点を常に持っておくことが重要です。

 

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