英文契約書の相談・質問集177 「合理的な」損害額という表現はあいまいではないですか。

 

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「『合理的な』損害額という表現はあいまいではないですか。」というものがあります。

 

 例えば,商品の買主が売主の保証違反(仕様に合致していなかった)などにより,第三者に損害賠償をしなければならなくなったとします。



 この際に,買主は売主に対して第三者に支払うことになった損害の賠償請求をするとか,その損害には弁護士費用も含まれるなどと契約書に定めることが多いです。

 

 

 このような,第三者に支払う賠償金の額や,弁護士費用の額については,請求する当事者が主観的に妥当だと考える基準で損害額を算定されてしまうと,支払いを負担するほうは不利益が大きくなる可能性があります。

 

 

 自分がいったん支払うが,最終的に相手方に請求できるということになるので,「財布の紐が緩む」ということが考えられるからです。

 

 

 そのため,このような場合には,損害額や弁護士費用が不当に釣り上げられることがないように,「合理的な(Reasonable)」金額に制限するということを,英文契約書に記載することがあります。

 

 

 この「合理的な(Reasonable)」という表現は,あいまいなものであることは,否定できません。

 

 

 幅がある概念ですので,何が合理的かどうかは,直ちに明らかにならないからです。

 

 

 ただ,「合理的(Reasonable)」な額に制限するなどと書いていないと,文字どおり,請求する側が勝手に決めて良いのだと契約当事者に理解される危険があります。

 

 

 そうなると,損害額や弁護士費用を請求する側の当事者は,高めでもいったん損害や弁護士費用について第三者に支払いを行ってさっさと解決して,その後,相手方に請求してくることが考えられます。



 どうせ後で相手方に請求するのだから,第三者からの請求に対して「言い値」で払ってさっさと紛争を解決してしまったほうが「楽」だからです。

 

 

 ただ,これに対して,相手方は「不当に高額すぎる」と反論して交渉しようとするでしょう。

 

 

 しかし,請求者は,「そのようなことは契約書に書いていない。契約書には支払った分を負担するとしか書いていない。」といって抵抗してくるでしょう。

 

 

 このやり取り自体が貴重な経営資源である時間を奪う「損害」になるわけです。

 

 

 もちろん,合理的に(Reasonable)という用語がなくとも,賠償額の支払いを求められた当事者が裁判所に訴えれば,一定程度根拠のある合理的な金額のみを賠償額と認めると修正を受ける可能性があります。

 

 

 ただ,このような争いになること自体が,時間とコストの無駄になるのです。

 

 

 そのため,ある程度,「言い値」ではだめだということをお互いの当事者が事前にわかっておくことに意味があることがあります。

 

 

 たとえ,合理的(Reasonable)という用語が一義的に明確ではなくとも,これがあることにより,損害算定の方法に根拠があるか,判例からして相場の範囲内に収まっているか,など合理性を支える根拠を意識するようになります。

 

 

 そうなれば,あとは,合理的な根拠があるのかどうなのか,合理的な範囲内といえるかどうか,その幅はどの程度かなどを,お互いが話し合えば良くなります。

 

 

 このほうが,交渉のポイントが定まっている分,何も書いていないよりも,相当に「まし」なのです。

 

 

 契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際には,「こうしないと完璧ではないから,意味がない。」という発想ではなく,「完璧ではないものの,こうしたほうが何もしないよりましだ。」という発想もときには大切だということになります。

 

 

→【英文契約書の相談・質問集178】ADRとは何ですか。

 

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