英文契約書の相談・質問集178 ADRとは何ですか。

 

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「ADRとは何ですか。」というものがあります。

 

 ADRとは,Alternative Dispute Resolutionの略で,和訳すると「裁判外紛争解決手続」と訳されています。

 

 

 紛争を解決するための手続きは,これまで司法機関(裁判所)を利用した訴訟・裁判(Litigation)が主流でした。

 

 

 これに代わって,訴訟・裁判以外の紛争解決を目的とした手続き全般をADRと呼んでいます。

 

 

 国際紛争において,最もポピュラーなADRがArbitration(仲裁手続)です。

 

 

 他にも,Mediation(調停手続)というものもADRの一つです。

 

 

 日本では,まだあまりADRが浸透しておらず,Arbitration(ADR)は国内であまり利用されていないと言われています。



 アジアでは,シンガポールや香港では国際仲裁がさかんに行われています。

 

 

 逆に,調停は,世界的にはあまりメジャーな手続きとはいえないですが,日本では,一定の分野ではよく利用されています。



 例えば,離婚調停です。離婚を求める場合は,いきなり訴訟を提起することは認められておらず,まずは調停を申し立てることになっています(「調停前置主義」)。

 

 

 裁判や仲裁は,当事者が和解できない場合は,最終的に判決や仲裁判断のような強制力のある決定が下されますが,調停の場合,そのような強制力のある決定は出ず,あくまで話し合いによる解決を目指します。

 

 

 調停で話し合いによる解決ができなければ,調停不成立ということで,手続きは終了してしまいます。


 

 この点が,裁判・仲裁と,調停との大きな違いです。

 

 

 私がイギリスに留学していたときは,イギリスでは,訴訟はもちろんADRも含めて法的手続きをすることなく,ほとんどが弁護士同士の交渉による和解で紛争が解決していました。

 

 

 これが圧倒的な率です。おそらく,9割以上ではなかったかと思います。

 

 

 もしこの弁護士同士の話し合いで解決できない場合の次のステップがArbitration(仲裁)でした。

 

 

 分野にもよりますが,私が取り扱っていた国際取引や海事の分野では,裁判はほとんど選択されず,法的手続きがとられる場合でもほとんどが仲裁手続でした。

 

 

 国によっても違うと思いますが,世界的な潮流として,これからは訴訟よりもADRの利用が増えていくといわれています。

 

 

 両者の違いはいろいろとありますが,ビジネスでの紛争の場合,何よりも解決までのスピードが重視されますので,この点で仲裁が選択されるという事情もあります。

 

 

 また,特にイギリスで実務をしていて感じましたが,本来,ビジネス上の紛争(知的財産権の紛争などは違うでしょうが)は,国の機関(裁判所)に解決を委ねるのではなく,企業が自主的に解決すべきという側面もあるでしょう。

 

 

 訴訟に至れば,いわば私的な目的で,税金で運営される公的制度を利用することになります。

 

 

 そのようなことは最終的な手段として位置づけ,なるべく私的な紛争は私的に,自主的に解決すべきという考えがあるように思います。

 

 

 そのため,イギリスでは,訴訟を避けるための制度がいろいろと用意されていました。

 

 

 こうした考えがあるため,私が見聞きした範囲では9割以上が弁護士同士の交渉により解決していました。

 

 

 ビジネスは,スピードと金銭が重要な要素となることは否めませんので,あながち不合理とはいえないという実感がありました。

 

 

 こうした流れは,世界の多くの国での潮流になるのではないかと感じています。

 

 

 紛争になればすぐ裁判という視点を持つのではなく,まずは自主的に解決できるように取り組む姿勢が特にビジネスにおける紛争では重要でしょう。

 

 

 このような自主的な紛争解決である交渉の際に,いかに自社に有利な主張を,根拠を持ってできるようにしておくかというのが,契約書であり,日々の証拠づくりであるわけです。



 もちろん,契約書の作り込みなどの予防法務に取り組むことにより,そもそも紛争の発生率を減らすことが大切であることは言うまでもありません。

 

 

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