英文契約書の相談・質問集180 損害賠償の予定(Liquidated Damages)はなぜ定めるのですか。

 

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「損害賠償の予定(Liquidated Damages)はなぜ定めるのですか。」というものがあります。

 

 

 多くの国の法律で,当事者が契約違反をした場合,契約違反をされた当事者は,契約違反をした当事者に対して,自社が被った損害の賠償請求ができるとされています。

 

 

 日本法も,英米法でも,契約違反をされた当事者は,自社がそれにより被った損害を,契約違反当事者に対して賠償請求できるとしています。

 

 ところが,この損害がいくらなのかというのはいつも簡単に算出できるということではありません。

 

 

 たとえば,当事者が秘密保持義務に違反して,秘密情報を第三者に漏洩したとします。

 

 

 この場合,秘密情報を漏洩された方の当事者は,自社の被った損害を,秘密情報を漏洩した当事者に請求することができます。

 

 

 ただ,ここでいう「損害」の金額を算定するのが困難という場合があるのです。

 

 

 実際に秘密情報を漏洩された先の第三者が判明したとしても,その第三者がどのようにその情報を使用したのか,それによって,自社がどの程度の損失を受けたのかなどを実際に調査して金額を算定するのは困難です。

 

 

 一般的に,損害賠償請求をする場合,自社がいくらの損害を受けたのかについては,請求する側が証明しなければなりません。

 

 

 損害賠償請求者が自社の損害を立証できなければ,請求者は敗訴してしまいます。

 

 

 こうなると,秘密情報を漏洩した情報は,痛くも痒くもなく,何らの責任も負わないということになりかねず,不当です。

 

 

 このような場合に備えて,予め予測される損害額を決めておき,それを契約書で合意しておくのが,「損害賠償の予定(Liquidated Damages)(リキダメ)」なのです。

 

 

 上述したとおり,損害賠償の予定(Liquidated Damages)(リキダメ)の大きな役割の一つは,立証の困難さを手当するという点にあります。

 

 

 契約違反はあったけれども,その違反により,いくら損害が生じたのかが算定しにくい,立証しにくいという場合に備えて,損害額の予測値を予め当事者で合意しておくことによって,実損額にかかわらず,損害賠償請求をできるようにするという狙いがあるのです。

 

 

 このように,損害賠償の予定(Liquidated Damages)(リキダメ)は,損害額を予め合意しておくものなので,実際の損害額が損害賠償の予定(Liquidated Damages)(リキダメ)の金額よりも多かったとしても,原則として超過している損害については請求できないことになります。

 

 

 かといって,金額を多額にしておけばよいかというと,あまりに高額の場合,そもそも相手方の承諾を得られないことも多いでしょうし,仮に合意できても裁判所などの判断により無効とされる可能性もあります。

 

 

 難しいですが,損害額として妥当な額を想定して合意しておくことが大切です。



 なお,この損害賠償の予定の額を請求することを目的としている詐欺のような案件もたまにありますので注意しましょう。



 簡単に義務違反になるような契約を結ばせ,義務違反があると見るや直ちに損害賠償の予定の額の損害賠償請求をしてくるようなケースです。

 

 

 この損害賠償の予定(Liquidated Damages)(リキダメ)は,日本法でも認められていますし,英国法でも認められています。

 

 

 これと似て非なるものとして,「違約罰(Penalty)」があります。

 

 

 こちらは,損害額を予定するというものではなくて,民事上の罰金のようなもので,制裁を課すという趣旨のものです。



 制裁があることによる抑止効果を狙い,義務違反を防ぐという意図もあります。



 この違約罰(Penalty)は,日本法では一応認められていますが,英国法では禁止されています。


 

 もっとも,日本法でも,あまりに高額な違約罰を定めると公序良俗違反などの理由により無効になることはあるでしょうから,注意が必要です。

 


 ちなみに,いくら契約書に,損害賠償の予定(Liquidated Damages)(リキダメ)として記載していても,高額な賠償金が書かれていて,その狙いが制裁にあることが明らかであるような場合,実質的に違約罰(Penalty)と判断されることもあるので,注意しなければなりません。



 条項のタイトルをどうするのかは関係なく,実質的な内容が重要であるということです。

 

 

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