英文契約書の相談・質問集187 弁護士には法律問題しか相談できないのですか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「弁護士には法律問題しか相談できないのですか。」というものがあります。
弁護士は,法律の専門家ですので,一般的には,法律が絡む問題についてアドバイスをしたり,法的な権利義務を規定する契約書を作成したりと,法律に絡む仕事をしています。
ただ,相談するクライアントの側からすると,ビジネスや経営の課題の中に法的問題が入り込んでいて,法的問題だけを解決しても,真の経営課題を解決したことにはならないということが多いと思います。
また,そもそも,経営課題の中から法的問題だけを切り出すことは難しいか,意味がないということがよくあります。
クライアントは,問題意識を広く持っていますので,自社の経営課題・ビジネスの課題として,弁護士に状況を伝えます。
ところが,弁護士は,法律の専門家として,クライアントが話す課題の中から,自分がアドバイスできる法的な問題を抽出し,それだけに回答しようとすることがあります。
こうなると,クライアントのほうは,問題の解決になっていないし,課題全体に向き合ってもらえていない,真の問題点を把握してくれていないと不満を持つことになります。
そのため,本来は,弁護士はクライアントのビジネスをよく理解し,広い視点で経営課題を抽出しなければなりません。
また,法務に関わる部分のアドバイスをすることは当然として,それ以外の点についても,積極的に意見を述べて,経営者が経営課題を正確に認識し,それに対する解決策を取捨選択できるようにクライアントをアシストできなければなりません。
それには,クライアントのビジネスと悩みについて的確に質問をして,課題を発見することが不可欠ですし,ある程度の経営やビジネスに対する理解・知見も求められます。
クライアントが,弁護士にいつも法律問題というものに関してだけ,正解を教えてもらっているだけの感覚を抱いているとすると,その弁護士は,法律問題だけを扱っていて,起業やビジネスの法的「アドバイザー」とまではいえないのかもしれません。
今後,インターネット上での知識の共有やAIの発達などが進むと,法律問題に対して正解を出すというのはこれらのテクノロジーが行ってくれるので,クライアントにとって弁護士の役割は,課題を発見し,提案をしてくれる,良き「アドバイザー」や「コンサルタント」になってくるものと思います。
法的な課題をクライアントが正しく把握していて,それに対する法的結論を得たいだけであれば,インターネット上に答えがあることが少くありません。
弁護士に相談する意味があるとすると,自社の抱えている課題が何であり,解決するためにはどの分野の知識が必要で,その課題を解決するためにはその知識をどのように解釈し当てはめればよいのか,そこまで突っ込んだ内容になるでしょう。
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