英文契約書の相談・質問集188 海外の弁護士の費用はいくらくらいですか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「海外の弁護士の費用はいくらくらいですか。」というものがあります。
例えば,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を自社で作成し,これを事前に販売店(Distributor)が所属する国の法律に従っているかどうかを見てほしいという場合には,その国の弁護士に依頼する必要があります。
何らかの現地法が強制的に適用されて契約書の一部の条項が無効になり,定めた内容のとおりの効果が得られない可能性があるからです。
また,すでに海外の企業と取引をしている日本企業が,残念ながら海外企業とトラブルになったような場合にも,紛争解決のためにその国の弁護士に依頼することになります。
例えば,売掛が残ってしまって,債権回収が必要だったり,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の終了を告知したら,販売店(Distributor)が「契約終了の告知は無効だ,終了するなら補償金を払え」と言ってきたので対応が必要だったりします。
このようなときに海外の弁護士に依頼する場合,弁護士費用はいくらくらい見積もっておけば良いのかという質問を受けます。
海外の弁護士は,ほとんどがHourly Rate Chargeといって,1時間あたりいくらという定め方をしています。
日本では,タイムチャージ・時間制報酬などと呼んでいます。
まず,この1時間あたりのレートがいくらなのかによって,かかる弁護士費用が異なります。
弁護士にもランクといいますか,ヒエラルキーがあります。
ヒエラルキーの上部に位置する弁護士は1時間あたりの金額が高い傾向にあります。
例えば,パートナーとアソシエイトという区分けでいうと,パートナーというのは経営弁護士で,会社でいうと取締役にあたるような弁護士です。
そして,アソシエイトというのは,勤務弁護士と呼ばれるもので,会社でいうと従業員に該当するような弁護士です。
そのため,パートナーのほうが1時間あたりの弁護士費用は高いのが普通です。
また,この1時間あたりの金額は,取扱分野がニッチな分野であまり扱っている弁護士がいないと,高くなる傾向にあります。
市場原理が働いているからです。例えば,ニッチ分野のシニアパートナーのレートだと,日本円で10万円以上することもあります。
これに対し,割とメジャーな分野でのパートナー弁護士のレートは,時間あたり5万円程度で,アソシエイトは3万円程度などとされています。
こうした時間あたりの単価で,まずどの程度費用がかかるのかが決まってきます。
次に,当然ですが,その弁護士がどの程度稼働するのかによって,金額が異なってきます。
英文契約書のレビューなどは,契約書のドラフトを見ればだいたいどの程度の稼働時間が必要かが事前にわかることが多いです。
そのため,事前に契約書レビューの見積を依頼すると割と正確な見積をもらえることが多いです。
これに対して,トラブルになったときに海外の弁護士に依頼する場合は,事前の正確な見積もりが難しくなります。
トラブルには相手方がいるので,相手方の動きによって,こちら側の弁護士がどの程度動く必要があるのかが大きく異なってくるためです。
このように,海外の弁護士に依頼する場合,その弁護士の時間単価がいくらなのか,そして,どの程度稼働しそうなのか(終了までに時間がかかりそうか)によって,いくら弁護士費用がかかるのかが決まってくることになります。
通常,事前に見積もり依頼をすると,回答してくれますが,あくまで見積もりですので,結果として,たくさん弁護士が動いた場合には,見積額を超えて請求されることになります。
その弁護士や事務所と付き合いが長かったりすると,キャップといって,見積もり金額の範囲内で対応してくれることもあります。
金額に蓋をして,それ以上は請求しないということで,キャップと呼んでいます。
中には不当な請求と思われる金額を最終的に請求してくる弁護士も皆無とはいえませんので,海外事務所との間に自社の法務部や日本の顧問弁護士を入れるなどして,業務管理をするということもよくあります。
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