英文契約書の相談・質問集190 海外企業との交渉でのコツはありますか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「海外企業との交渉でのコツはありますか。」というものがあります。

 

 海外企業に限りませんが,取引上の交渉は,バーゲニングパワー(交渉上の優位性)を持っている当事者の交渉力が強いのはやむを得ないところがあります。

 

 それでも,バーゲニングパワーが弱いほうの企業が,強いほうの企業の言いなりにならなければならないのかというと,もちろんそんなことはありません。

 

 主張すべきことは主張し,できるだけ自社に有利な,または,フェアな内容を獲得することが大切です。

 

 そうはいっても,相手のほうが立場が強い場合,相手に有利な条件ばかり押し付けられ,自社に有利な条件を飲ませることはかなりハードルが高いということはよくあります。

 

 このようなときに,ただ自社が飲んでほしい要求をするのでははなく,交換条件として提案するということでうまくいくことはあります。

 

 要するに,「私達はここを譲歩するので,この点を承諾してほしい」という提案の仕方をしたり,「あなた達の要求は受け入れるので,その代わりこの点を受け入れてほしい」という提案の仕方をするのです。

 

 英米法の概念がどこまで関係するかはわかりませんが,英米法の考え方では,法的強制力のある契約を締結するためには,Consideration(約因)という要素が必要です。

 

 このConsideration(約因)は,「対価」のようなもので,一方の当事者が何かの義務を負うのであれば,他方の当事者もその対価として何らかの義務を負うべきだという考えです。

 

 こうした考え方の影響もあるのか,とりわけ外国企業に対しては,単に自社の要求を突きつけるより,相手の求めていそうな内容を探り,これを受け入れてくれたら,これを受け入れるという提案の仕方をすると,うまくいくことはあります。

 

 特に英米系の企業は,Consideration(約因)がなければ約束を法的に強制できないことを理解しているため,何らかの負担を相手に強いるなら,自分も一定の負担を負うことに抵抗がないというのが理由の一つなのかもしれません。

 

 もちろん,それ以外にも,人脈や根回しというような「裏技」のような交渉方法も有効な場合がありますが,いつもそのようなカードを切れるわけではないでしょう。

 

 そういう場合は,自社の利益ばかりを追求するのではなく,自社が譲歩できる点を探り,それを譲歩する代わりに相手方にも譲歩を求めるという「和解」のような考え方が功を奏することがあります。

 

 取引交渉時は,まだ取引を開始していない段階ですので,特にお互いが疑心暗鬼になりがちです。

 

 そういうときに,「油断するとやられる」というような姿勢で,攻め一方のような交渉を行うと,どんどん悪い方向に進むことがあります。

 

 そうではなく,信じられないのは相手も同じだと理解して,相手のことを理解しようと努力し,「自社も譲歩できるところはするので,あなた達も譲歩できるところはお願いします。そうすることでお互いがベストな状況に持っていきましょう。」という姿勢が伝わると良い交渉ができることがあります。

 

 考え方として上述したConsideration(約因)を意識すると良いと思います。約束事・義務が当事者双方にとってフェアになるように提案を繰り返していくという姿勢でいると割と相手も話しを聞いてくれるでしょう。

 

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