英文契約書の相談・質問集191 英文契約書では免責条項が長文になるのはなぜですか。

 

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「英文契約書では免責条項が長文になるのはなぜですか。」というものがあります。

 

 

 英文契約書では,結果損害(consequential loss)や間接損害(indirect loss)の免責に関する条項や不可抗力(force majeure)免責に関する条項が長文になる傾向があります。



 英文契約書をはじめて目にした方の中には,全体のボリュームとして長文だという感想のほかに,1条項の内容が長いという感想を持った方も多いと思います。

 

 

 日本語の契約書では,不可抗力免責の条項そのものがないことも多く,いわゆる特別損害(結果損害・間接損害)についての免責条項についても定められていることはそう多くはありませんので,なおさらそう感じると思います。

 

 

 これには,いくつか理由があるでしょうが,その一つは,英文契約書の背景にある英米法の考え方があると思います。

 

 

 日本では,過失責任が採用されており,契約当事者が債務を履行せずに相手方に損害を与えた場合でも,債務不履行をした当事者に帰責事由(過失のようなもの)が認められない限り,相手方に対し損害賠償責任を負いません。

 


 不可抗力というのは,もともと,当事者がコントロールできないような事由,つまり自然災害などのことを指しますから,不可抗力によって債務不履行をした当事者が責任を負わないのは,日本法ではいわば当然のことになるわけです。



 このように法律で当たり前のこととして定められているので,日本の和文契約書では,不可抗力の場合に当事者が免責される旨の規定がわざわざ入ってないことがあるのです。



 ところが,英米法の世界では,基本的に契約責任は無過失責任とされており,約束した以上は,たとえ不可抗力によって契約上の義務を履行できない場合でも,責任を免れられないとされているのです。



 そのため,英米法を準拠法とする英文契約書や英米法の考えを基礎として作られた英文契約書では,不可抗力の免責条項を書いていないと,免責を受けられない可能性があるので,ほとんどの契約書に書いてあるわけです。



 このように,英米法は,契約で約束をした義務については,厳格に守らなければならないという考えが根本にあるため,約束違反の場合の責任について敏感だといえます。



 そのため,この場合は責任を負わない,この場合は誰が責任を負うなど,契約責任については契約書の段階で事細かに規定しておきたいという事情があります。



 これにより,和文契約書を見慣れている人にとっては,英文契約書は免責規定がやたらと長く,細かいという印象を受けるのです。



 不可抗力免責条項(Force Majeure Clause)においても,不可抗力の事象がたくさん挙げてあり,結果損害や間接損害の免責条項も,具体的な損害が事細かにたくさん書かれているのは,こうした理由があるからなのです。



 また,約束したことへの責任の重さを厳格に考えているからこそ,責任の配分についても,契約書の段階で書いておこうという発想になり,Indemnification/Indemnity Clause(補償条項)も多くの英文契約書に含まれているのです。



 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際には,この契約責任に対する考え方の違いを意識すると,なぜ免責(disclaimer)関連や責任分配(indemnity)関連の条項が長文になるのかを理解しながら検討できるかと思います。

 

 

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