英文契約書の相談・質問集196 契約書の作成・チェックは弁護士に丸投げできますか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「契約書の作成・チェックは弁護士に丸投げできますか。」というものがあります。
契約書のタイトルを伝えて弁護士に契約書を作成してもらったり,自社で作成した契約書を弁護士に提出してチェックをしてもらったりするには,自社で何をする必要があるのでしょうか。
当然,本当に「丸投げ」というのは不可能です。弁護士に提供すべき最低限必要な情報があります。
例えば,そのような契約をすることになった背景,そのビジネスで達成したい内容,どのようなことになってもらっては困るのか,一番守りたい利益は何か,自社は何をして相手は何をするのか,こうした基本的な情報がないと,契約書の作成はおろか,チェックもできません。
契約書をチェックする際に,弁護士がこれまでの経験で持っている注意点やポイントというのはもちろんあるのですが,それだけですと,一般論のようなチェックになってしまいます。
販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)など,定型性がある程度ある契約書であれば,まだ良いのですが,そうではない契約書ですと,より情報が大切になります。
弁護士が「どういう視点で契約書をチェックすれば良いのか」を判断するのに,クライアントの有している情報が不可欠ということです。
そのため,弁護士に依頼したり,問い合わせをしたりする際には,上記のような事情をわかっている担当者が連絡するか,情報を十分に共有しておく必要があるでしょう。
弁護士に契約書を渡しておけば,自動的に「最善」の契約書に直って戻ってくるというイメージではなく,自社の理想のようなものを伝えて,それに合うように検討をしてもらうというイメージが正しいということになります。
どういう情報が必要かについては,契約内容などによって違いますので,それは弁護士側が質問する際に考えるべきといえます。
基本的には,弁護士に任せておけば契約書を作成してくれたり,契約書のチェック・修正したりしてくれますが,より自社にフィットした契約書にするためには,十分な情報を伝える必要もあるということになります。
このような事情があるため,中小企業であっても顧問弁護士を用意しておくことをおすすめしています。
顧問弁護士であれば,貴社の事業の内容や法的に注意すべき点,取引の勘所などを普段からの付き合いにより理解しているため,契約書の作成・レビューをスムーズに行うことができるからです。
もちろん,顧問弁護士に対しても必要な情報を提供する必要はありますが,提供する情報の量は圧倒的に少なくて済みますし,依頼者と弁護士との相互理解もあるため,ミスコミュニケーションも減り,法的リスクをより適切に減らすことができるようになります。
弁護士に頼めば簡単に契約書ができたり,リーガルテックを利用すれば自社に最適な契約書が自動的に作成されたりするというものではありませんので,その点は理解しておく必要があります。
あくまで,自社の状況と相手方の情報,取引の内容などを前提にして契約内容の最適解が導き出されるのであって,無前提に自社に有利な契約書を作ればよいというものではないということです。
→【英文契約書の相談・質問集197】Attorney-client privilege(秘匿特権)とは何ですか。

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