英文契約書の相談・質問集201 日本の弁護士が海外の法律の対応もしてくれるのですか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「日本の弁護士が海外の法律の対応もしてくれるのですか。」というものがあります。
私も日本の弁護士資格を持っていますので,日本の弁護士です。
当然ですが,日本の弁護士は,日本法を取り扱う資格があるだけですので,海外の法律を取り扱う資格を持っているわけではありません。
そのため,海外の法律を取り扱う必要があるときは,その国の弁護士資格を持っていて,その分野に詳しい専門家の弁護士に依頼をして,一緒に仕事をしています。
中には,例えば,日本の弁護士資格とNY州の弁護士資格を持っているという弁護士もいますので,こういう弁護士は,どちらの法律も取り扱うことができます。
ただ,2つの弁護士資格を有していても,どちらにも精通し,どちらの実務もしているという人は現実には少なく,実際の実務は現地の弁護士に依頼するのが一般的だと思います。
取り扱う資格があるということと,実際に取り扱うことができるということの間には大きな壁があるので,一人の弁護士がいくつも専門分野を持っているということは現実にはあまりないのです。
専門性を持つということは他のことに時間を割かずに,1つの分野に時間を集中投下するということですから,たくさん専門分野を持つというのは矛盾でもあります。
また,資格までは持っていないが,外国の法律を事実上知っている,外国法に詳しい日本の弁護士という人もいます。
私も,英米法についての弁護士資格はないですが,一定の知識は有しています。
この知識を使って,どこまでの行為をすることが許されるのかは,各国の法律によって定められているということになります。
日本の弁護士で海外の法律に詳しい弁護士は,法律の入り口の説明くらいをして,もっと突っ込んだ対応が必要である内容であれば,さらに現地の弁護士に依頼するということをしているのが通常かと思います。
法律問題は,非常に細分化されていますし,弁護士も特に海外では専門分野が事細かに別れています。
そのため,一人の弁護士になんでもかんでも対応してもらうことは,一見便利のように思えますが,実は危険だと思います。
窓口となる顧問弁護士に普段は対応してもらい,海外の法律に真剣に対応する必要があるというときは,その弁護士と海外の専門弁護士にともに動いてもらい,アドバイスを受けるというのが適切だと思います。
予算の問題で安く済ませようとして,役に立たないか,むしろ有害なアドバイスを元にビジネスを進めてしまって損害を受けてしまっては意味がありません。
法律が絡む問題は,判断を誤ると時に大きな損失を招くことになりますので,しかるべきコストをかけて,その道の専門家にきちんとアドバイスを貰って適切な意思決定をすることが,ビジネスで損失を回避し,確実に利益を上げる第一歩となります。
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