英文契約書の相談・質問集207 最低購入数量が厳しいのですがどう交渉したら良いでしょうか。

 

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「最低購入数量が厳しいのですがどう交渉したら良いでしょうか。」というものがあります。

 

 

 例えば,海外のメーカーの商品を販売店(Distributor)となって,日本で輸入販売をしたいという日本企業が交渉をしていたとしましょう。

 

 

 日本企業としては,その商品に惚れ込み,是非,独占販売権(Exclusive Sales Right)を取得して商品を独占的に日本国内で売りたいと考えました。

 

 

 この場合,海外のメーカーは,独占販売権を渡すのであれば,最低購入数量(Minimum Purchase Quantity/Amount)を定めさせてほしいと言ってきます。


 

 最低購入数量はミニマムとかノルマと呼ばれることもあります。


 

 この最低購入数量(Minimum Purchase Quantity/Amount)がかなり高めに設定されていたとします。

 

 

 ただ,販売店(Distributor)となる日本企業としては,まだ日本でその商品がどれだけ売れるかのポテンシャルがわからない状態で,高いノルマを約束するのは,大きな不安があります。

 

 

 では,このような最低購入数量(Minimum Purchase Quantity/Amount)を巡って,日本企業としては,どのように交渉すれば良いのでしょうか。

 

 

 最も簡単なのは,言うまでもないですが,最低購入数量(Minimum Purchase Quantity/Amount)条項を削除してもらい,購入ノルマのない販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を締結することです。

 

 

 ただ,これは非常にハードルが高く,通常は,メーカーは許してくれません。

 

 

 独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)を締結するということは,契約期間中,販売店以外の他社に商品を卸すことができないというメーカーとしては大きな不利益を受けること意味しています。



 そのため,その不利益の代わりに最低購入数量(Minimum Purchase Quantity/Amount)を販売店に課すという利益を得ることは必須の条件というわけです。

 

 

 次に考えられるのは,最低購入数量(Minimum Purchase Quantity/Amount)の数字を無理のないものに変更することです。

 

 

 こちらも簡単ではないですが,例えば,特に売れ行きが見えにくい1年目や2年目の数値を下げてもらい,3年目以降は通常のミニマムにするという内容であれば,交渉が進むこともあります。

 

 

 他にも,いったん最低購入数量(Minimum Purchase Quantity/Amount)は定めるものの,「1年毎に昨年度の実績や経済情勢を加味して変更することがある」などとし,ノルマが厳しい場合に変更する余地を残しておくということもあります。

 

 

 または,最低購入数量(Minimum Purchase Quantity/Amount)を法的義務ではなく,単なる予測(Non-binding forecast)に変えるという方法もあります。



 こうすることで,仮に予測の数字を達成できなくとも,法的拘束力はないのでペナルティは受けないということになります。

 

 

 法的拘束力のない単なる努力目標では相手が飲んでくれなければ,最初は予測(Non-binding forecast)にして,3年目以降は,法的拘束力がある最低購入数量(Minimum Purchase Quantity/Amount)にするという方法もあります。

 

 

 他にも,最低購入数量(Minimum Purchase Quantity/Amount)を達成できなくとも「未達成率が10%以内ならペナルティはない」などと,達成率でバッファーを持たせるという方法もあります。



 さらに,最低購入数量(Minimum Purchase Quantity/Amount)未達になってしまった後でも,一定期間内に不足分を買い増せばペナルティの適用はないとすることもありえます。



 これにより,事実上,契約を続けるかどうかを販売店(Distributor)側が選択できることになります。



 販売店が期間内に不足分を買い足せば契約解除は免れますが,買い足さないという選択をすればノルマ未達でサプライヤー側に解除される可能性があるためです。

 

 

 その他,最低購入数量(Minimum Purchase Quantity/Amount)に違反した場合のペナルティについても交渉の余地があります。

 

 

 例えば,最低購入数量(Minimum Purchase Quantity/Amount)に違反したら,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を解除できるという内容になっていたら,契約解除ではなく,非独占の販売店契約(Non-Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)に変更されるというペナルティに修正することがあります。

 

 

 そして,翌年最低購入数量(Minimum Purchase Quantity/Amount)を達成したら,独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)に戻してもらうなどとすることも考えられます。

 

 

 また,四半期ごとに最低購入数量(Minimum Purchase Quantity/Amount)が定められているような場合,ペナルティは,四半期の1回だけ未達という状態では発動できず,2回以上連続して未達だったときにはじめて発動できるなどとすることも考えられます。

 

 

 このように,交渉の方法,代替案はたくさんあります。特に,こうしなければならないとか,この枠組で考えなければならないとか,決まったルールがあるわけではありません。

 

 

 交渉では,ただ単に拒否すると,相手のメリットをすべてなくすということになりますから,相手もすんなり受け入れてくれません。

 

 

 そのため,相手に譲歩を求めるのであれば,代替案を出したり,別のところで自分も譲歩したりするなど,フェアであるとか,対価性(Consideration)があるとか,このあたりを相手に感じてもらえるような交渉をするのが適切でしょう。



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