英文契約書の相談・質問集210 契約書のサイン欄が相手と自社と別のページになっても良いですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「契約書のサイン欄が相手と自社と別のページになっても良いですか。」というものがあります。

 

 英文契約書では,通常,契約書の条項が並んでいる本編の最後に契約当事者がサインするサイン欄が設けられています。

 

 そこに,両当事者の契約締結権限のある者がサインをすることによって,契約書は発効します。

 

 このサイン欄が,ページをまたがって,当事者Aと当事者Bが別のページにそれぞれサインするということになっていることがあります。

 

 このままサインして良いのでしょうかというのが今回のテーマです。

 

 結論としては,このままサインしないほうが良いです。

 

 なぜかというと,別々のページにサイン欄が設けてあると,例えば,自社のサインしたページには自社のサインしか内容がないということがありえます。

 

 こうなると,自社が何に対してサインをしたのかが後で証明できないという可能性を生じます。

 

 サインだけが浮いてしまっているので,例えば,相手方が,別の内容の契約書にそのサインを付けてしまえば,全く別の不利な内容の契約書に自社がサインしたということになってしまうおそれがあります。

 

 もちろん,これは不正なのですが,海外取引では,このような不正をされる可能性があることを十分に認識しておかなければなりません。

 

 また,反対に,相手方が契約書の条項がなくサインしか存在していないページにサインをしていた場合を考えてみます。

 

 この場合にトラブルが起きたとします。

 

 自社としては,その契約書の内容に納得できたので,サインをして当然契約書の内容は有効で法的拘束力があると考えていますから,契約書の内容通りの主張をします。

 

 ところが,相手方のサインは,自社のサインと同じページにはありません。相手方がサインしたページには相手方のサイン以外には何の情報もありません。

 

 そうすると,相手方としては,そのような契約書にはサインしていないという主張をしてくることがありえます。

 

 貴社は,相手方のサインがその契約書になされたものだと主張したいのですが,相手方のサインは浮いてしまっています。

 

 そのため,相手方が「私達はこの契約書の内容にサインはしていない。サインしたのは別の契約内容だった。これは,自分の都合の良いように契約内容を書き換えてから,私達のサインのあるページを付け加えたものだ。でっち上げだ。」と主張してきたら,この主張が通ってしまう可能性があるのです。

 

 このような事態を避けるために,契約書のサインは自社と相手方が同じページにするのがベストでしょう。

 

 または,契約書を綴るときに,イニシャルサインを全ページにして,ページ数を,1/20,2/20…として,全体のページ数が明らかになるようにし,ページの差し込みや差し替えなどがないことを立証できるようにしておくという対策が必要でしょう。

 

 もちろん,繰り返しになりますが上記は不正行為ですのでこういう事態が起こる可能性はそれほど高くはないかもしれません。

 

 ただ,海外企業との取引では,日本国内での取引以上に「わからない」「ありえない」ことや,日本からすると「非常識」なことが起こります。

 

 そして,もし上記のような不正を働かれた場合,損をするのは自社ですし,相手が悪いのだといくら責めてみても,後の祭りということも多いものです。

 

 国際ビジネスでは日本国内での性善説に立脚した常識は通用しないことが多いです。

 

 未然にトラブルを避けるために,一見細かいと思われることでもできる限り事前に対策をしておきましょう。

 

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