英文契約書の相談・質問集212 Cease and Desist Letterとは何ですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「Cease and Desist Letterとは何ですか。」というものがあります。

 

 CeaseとDesistは,「停止/中止させる」という意味です。

 

 そのため,Cease and Desist Letterは,何らかの行為をやめさせるために送る書面のことを指します。

 

 よく使われるのは,商標権や著作権などの知的財産権の侵害行為をしている者がいる場合に,その侵害行為をやめるように警告する場面です。

 

 日本のメーカーが,独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement))を締結して,海外の販売店(Distributor)に商品を販売展開してもらっていると,偽物を販売したり,自社の商品を別のルートで仕入れて勝手にメーカーのロゴや商標を使用して販売したりする業者が出てきます。

 

 これでは,現地の販売店(Distributor)は,せっかく独占販売権を取得してテリトリー内では自社しかその商品を扱えず,市場を独占できるというメリットを失ってしまいます。

 

 そのため,日本のメーカーになんとかしてほしいと依頼が来ることがあります。

 

 偽物を販売しているのであれば,メーカーが商標権,著作権や特許権の侵害行為としてCease and Desist Letterを送り,戦っていくというのが通常でしょう。

 

 ところが,別のルートで商品を仕入れて,偽物ではなく真正品を売っているとなると,やっかいです。

 

 なぜなら,これは「並行輸入」の問題となり,国の法律によって扱いが異なるのですが,例えば日本法では一定の要件を充たせば並行輸入は適法とされているからです。

 

 そのため,並行輸入を妨害すると,妨害した側が独占禁止法に違反するということになってしまいます。

 

 上記の例で,販売店(Distributor)の所属する国が並行輸入を禁止していなければ,メーカーが下手にCease and Desist Letterを送って,販売を中止するよう警告すると,それが独占禁止法や競争法違反として逆にメーカーが警告を受ける可能性があります。

 

 もし,進出国の法律が並行輸入を禁止しているのであれば,商標権侵害などを理由に販売を差し止めることが可能になります。

 

 たまに「当社がメーカーから独占販売権を得ているのであるから,並行輸入をしている業者は違法業者だ」と理解されている経営者の方がいらっしゃいますが,上述のとおり,少なくとも日本では一定の要件の下,真正品を並行輸入しているのであれば違法ではありません。

 

 また,メーカーに対応してもらえると思っていても,メーカーも並行輸入は適法なので対処できないとか,メーカー自身は独占的テリトリー内の他の業者に売っていないので,契約違反はないので対応はしないなどと言われて何もしてもらえないことは多いです。

 

 そのため,独占販売権を取得したから市場を独占できると短絡的に考えないほうがよいですし,独占販売権を守るためにメーカーが積極的に動いてくれると期待しすぎないほうがよいです。

 

 あくまで自己責任とわきまえて,事前に取りうる対策を調査しておき,その範囲内で対処する前提で採算を考えておきましょう。

 

 このように,海外で商品を販売展開する際には,いろいろなトラブルに見舞われる可能性があり,すべて法的に端的な対応ができるとは限りませんので,何が起きたらどのような対処ができるのか,できないのかということを事前に理解しておくと良いでしょう。 

 

→next【英文契約書の相談・質問集213】契約トラブルで準拠法が外国法の場合どうしたら良いですか。

 

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