英文契約書の相談・質問集214 品質保証はどこまで細かく定めるべきですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「品質保証はどこまで細かく定めるべきですか。」というものがあります。

 

 例えば,日本のメーカーが海外の工場に製造委託をしたり,日本の販売店(Distributor)が海外のメーカーから商品を輸入して日本で販売展開したりするような場合に,商品の品質保証について問題になることがあります。

 

 一般に,日本の品質基準は世界的に見て厳しい部類に入るといわれていて,海外の工場に製造委託をすると,日本の市場では通用しないレベルの品質の商品が送られてくることがよくあります。

 

 海外の工場は現場の「常識」や「慣習」で稼働しているので,日本の基準をそのまま共有してくれているわけではありません。このギャップが引き起こす問題の一つといえます。

 

 そのため,海外の工場に商品の製造委託をするような場合,英文契約書においてきちんと品質保証(Warranty)について取り決めておく必要があります。

 

 この品質保証条項は,ただ単に「仕様(Specifications)に合致することを保証する」などと記載しただけでは不十分な場合があります。

 

 例えば以下の要な場合です。食器や服などでは,プリント・柄の位置や,縫い目の位置などに微妙なずれが生じることがあります。

 

 これでも,商品の仕様としては問題ない状態になっていて,「少しずれがある」程度の問題なわけです。

 

 そうすると,海外の工場としては,「仕様にも合っているし,自国の市場では問題なく流通するから品質基準も問題なくクリアしている」と主張し,こちらのクレームを受け付けないということが起こります。

 

 いくら日本側が「日本ではこのレベルのものはアウトレット商品となり,正規ルートでは販売できない」と力説しても,事前に細かい品質についての合意をしていないので,後の祭りです。

 

 このようなことにならないように,最初から契約書において,細かい品質基準について合意しておくのが望ましいことがあるのです。

 

 案件によっては,Quality Control(品質管理)について別途合意書を交わしたり,品質について詳細を記載した別紙を契約書に添付したりすることもあります。

 

 前述した事例では,プリントや縫い目のずれが,どの程度許容できるのか,逆に,どの程度ずれが生じたら,品質クレームとなり,商品の作り直しなどをしなければならないのかを,予め契約書で合意しておくべきということになります。

 

 日本の感覚ですと,業界の商慣習などでこの程度は許容されるが,このレベルは「アウト」だという「常識」があるでしょうが,海外でそれは通用しません。

 

 海外の工場も継続的な取引関係を望むでしょうから,あまり強硬な態度は取らない可能性もありますが,一回の取引金額が大きく,必ずしも継続的な発注を予定していないような場合や,そもそも発注額を相当に抑えているような場合には,こちらのクレームを聞き入れず,何の対応もしないということもありえます。

 

 そのため,予め契約書で明確にしておくことが何よりも重要ということになるのです。

 

 すべてのケースで細かい品質についての合意が必要というわけではないのですが,商品の機能性など品質そのものに問題がなくても,デザインなどにこだわりがあり,「ここは譲れない」という部分があるのであれば事前に詳細について合意しておくほうが良いかと思います。

 

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