英文契約書の相談・質問集220 中間業者が多い場合に注意すべき点はありますか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「中間業者が多い場合に注意すべき点はありますか。」というものがあります。

 

 例えば,日本のメーカーが海外の販売店(Distributor)との間で販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を締結し,商品を卸して海外で販売展開するとします。

 

 この場合,販売店(Distributor)は,さらに卸業者や小売店に販売し,その卸業者や小売店が自分たちの顧客に商品を販売します。

 

 このように,商品の販売は一回販売して終わりではなく,いくつも売買が繰り返されることがあります。

 

 こうした中間業者が複数登場する取引において気をつけたほうが良い点はあるでしょうか。

 

 まず,自社がメーカーなのであれば,自社が責任を負える内容の英文契約書にすれば良いので,品質保証(warranty)規定や免責(disclaimer)規定をしっかり作り込んで,契約を交わせば良いことになります。

 

 もし商品の品質に問題があるなどのクレームが出されるとしたら,販売店(Distributor)から出されますので,販売店(Distributor)との間の販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)にきちんと品質保証について規定しておけば,その内容通りに対処すれば良いことになります。

 

 ただ,自社が中間業者になっている場合は注意が必要です。

 

 例えば,メーカー→販売店(Distributor)→卸業者→小売店→エンドユーザーという商流の場合の,卸業者や小売店は特に注意が必要ということになります。

 

 この場合の卸業者は,自社は販売店(Distributor)から商品を買って,小売店に販売しています。

 

 そのため,買主でもあると同時に売主でもあることになります。

 

 もし,小売店から商品の品質についてクレームが来た場合,卸業者と小売店の契約内容次第ということになるのですが,この契約内容に注意が必要です。

 

 この場合は,販売店(Distributor)が卸業者に対して行っている品質保証と同じ内容の品質保証を小売店との間で約束しているかどうかというのが重要なポイントになるのです。

 

 もし,自社が小売店に約束している保証の内容が,販売店(Distributor)との契約における保証内容よりも手厚いとなると,卸業者がその差を負担することになるからです。

 

 例えば,保証期間が,販売店(Distributor)との間の契約では,卸業者に引渡してから1年間となっているのに,卸業者と小売店との契約では,小売店に引渡してから1年間となっていると,保証期間にギャップができることになります。

 

 そのため,卸業者は,販売店(Distributor)との契約では保証期間が過ぎてしまっていて保証を求められないが,小売店との間では保証期間内にあるので,クレーム対応しなければならないという事態が起こりうるのです。

 

 このように,中間業者は自社と売り先がどういう契約を結べば良いかという視点だけではなく,仕入先との契約内容がどうなっているかという視点も持たなければなりません。

 

 例えば,小売店がエンドユーザーに対して商品の独自保証を与えて,その分エンドユーザーから一定の手数料を徴収しているような場合は,小売店がメリットもデメリットも知ってあえて行っていることなので問題ありません。

 

 問題なのは,中間業者が自社が売先に保証している内容と自社が売主から保証されている内容が一致しないことに気づいておらず,自社が独自に負うリスクはないと思い込んでいる場合です。

 

 A→B→Cと商品が流れた場合に,AB間の契約内容とBC間の契約内容がほぼ一致していることを「各契約がミラーの状態である」と表現することがあります。

 

 ミラー(mirror)は「鏡」ですので,鏡に写したような契約条件になっているということからこのような表現が使われます。

 

 自社の約束している内容について独自にリスクを負うことにならないか,自社が中間業者として取引する場合は注意しましょう。

 

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