英文契約書の相談・質問集221 個別契約とは何ですか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「個別契約とは何ですか。」というものがあります。
個別契約というのは,基本となる契約が別にあって,その基本となる契約に基づいて,個別に都度交わされる契約のことを指します。
個別契約は,英語ではIndividual ContractまたはIndividual Agreementと言うことが多いです。
例えば,販売店契約書,基本取引契約書や,基本売買契約書というベースの契約があり,その契約の内容にしたがって,買主が商品を発注し,売主が承諾すると,個別の売買契約が成立するということになります。
そして,基本取引契約書に記載されている条項が個別契約に対して適用されることになります。
これは,個別の取引が何度も繰り返されるという場合に,いちいち都度詳しい内容の契約書に押印していては無駄が多いので,継続的な個別契約に共通して適用される条件を基本契約書に記載し,その後は,簡単な手続きで個別契約を結びたいという動機により行われている実務です。
また,基本取引契約書と異なる内容の定めを個別契約書(通常は発注書と受注書のこと)に記載した場合は,個別契約書の内容が優先するなどと,両者の定めが矛盾したときの優先順位についても定めることがあります。
前述したとおり,基本契約と個別契約の内容が矛盾する場合,個別契約の内容が優先すると記載されていることが多いのですが,その場合,担当者が注文書と受注書で合意すれば,簡単に基本契約の内容を変更できることになってしまいます。
基本契約書は,通常代表権を持った権限者が契約書にサインしますが,発注書と受注書の交換は,担当者間で簡単に手続が済んでしまいます。
そのため,担当者が取り交わす個別契約書の内容が優先するとせずに,代表者がサインをした基本契約書の内容が優先すると定めることもあります。
どちらが良いと一概にはいえませんから,状況によって基本契約書に記載する優先権を変更するということになります。
頻繁な条件変更があり得る場合は,現場での都度の条件交渉を優先して個別契約を優先させたほうが良いかもしれません。
反対に,丁寧な交渉を経て詳細な内容で基本契約を結んだ場合は契約内容を基本的に変更したくないでしょうから基本契約の内容を優先させたほうが良いかと思います。
基本契約の内容がすべての個別契約に適用されるという基本事項をまずは理解し,個別契約と基本契約の内容が矛盾したときにどのように対処すべきなのかを具体的に考えて,結論を基本契約書に記載するようにしましょう。
→next【英文契約書の相談・質問集222】販売店契約終了時の在庫処理はどう定めるべきですか。
英文契約書に関するサービス内容のお問合せ,見積依頼は下記からお気軽にどうぞ。
正式にご依頼頂くまで料金はかかりません。
原則として,当日,遅くとも1営業日以内(24時間以内)に折り返しご連絡させて頂いております。