英文契約書の相談・質問集225 契約書は専門用語を避けてわかりやくしたほうが良いですか。

 

 海外進出・海外展開をするときに必要になる英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「契約書は専門用語を避けてわかりやくしたほうが良いですか。」というものがあります。

 

 私がイギリスに留学していた際に,イギリスの弁護士向けのトレーニングを受けていたことがありました。

 

 そのトレーニングでも言われていたのが,Jargonという専門用語を多用するのではなく,Plain English(平易な英語)を契約書に使用しなさいというものでした。

 

 確かに,特に従来の英文契約書は,一文が長くて非常に読みづらく,専門用語が連続する印象がありました。

 

 また,英文契約書だけではなく,イギリスの裁判所の判決文も難しい表現が使用されていて,一般の人が読んでも内容がわからないようなものになっていました。

 

 そういう傾向はやめて,契約書や判決文においても一般の人でも容易に理解できる通常の表現を使おうという動きが主流になっているのです。

 

 この流れは,英米だけではなく,日本でも当てはまります。

 

 それでは,契約書もなるべく法律専門用語の使用は避けて,平易なわかりやすい表現に徹底したほうが良いのでしょうか。

 

 矛盾するようですが,結論としては,そうとは言い切れません。

 

 確かに,当事者が読んでも,内容が専門的すぎて直ちに理解できないということになれば,当事者の理解に誤解が生じ,あとでトラブルになってしまうおそれがあります。

 

 その意味では,法律専門家でなくとも要件と効果がすんなりと理解できる平易な表現や内容を目指すべきでしょう。

 

 しかしながら,法律用語や専門用語の中には,その用語を使うと,こういう効果が得られる,こういう意味になると決まっているものもあります。

 

 その用語が法律で定義された用語であったり,かつて裁判所でその用語をめぐって争われ,意味が判例で確定している用語であったりする場合です。

 

 この場合に,その用語が法律専門用語で一般の人が読んでも直ちに理解できないため,良かれと思ってわかりやすい日常用語に置き換えてしまうと,将来,その用語に関連して紛争が起きたときに,例えば裁判所において本来の専門用語の意味で解釈されない危険性があります。

 

 そのため,一定の専門用語については,あえてそのまま使用したほうが安全ということもあるのです。

 

 もしその用語の意味がわからない場合は,顧問弁護士などに,意味を解説してもらえば良いと思います。

 

 相手方がわからないという場合は,相手方の顧問弁護士に質問させるべきということになります。

 

 以上のように,確かに契約書はわかりやすくあるべきなのですが,一定の法律専門用語はそのまま使用すべきこともありますので,なんでも日常用語に置き換えることはしないほうが良いでしょう。

 

 大雑把に言うと,基本的に表現はわかりやすい平易なものを使って良いですが,一部の法律専門用語についてはそのまま使用したほうがより安全であるということになります。

 

 そして,どのような法律専門用語をそのまま使用するかは,法律の専門家に判断してもらうのがやはり安全かと思います。

 

 避けなければならないのは,自分の勝手な判断で専門用語を平易な表現に変えたり,意味もわからないまま書式にある専門用語をそのまま流用したりする行為と言えるでしょう。

 

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