英文契約書の相談・質問集226 製造委託契約で余剰品が出た場合どうすれば良いですか。
海外進出・海外展開をするときに必要になる英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「製造委託契約で余剰品が出た場合どうすれば良いですか。」というものがあります。
日本企業が,製造委託契約(Manufacturing and Supply Agreement)を締結して,海外の工場に製品の生産委託をしたとします。
その際に,注文した個数分の商品を製造するのが当然なのですが,生産ラインの都合や,商品に問題があった場合に備えて交換分として余分に生産されることがあります。
このような余分に製造されていた製品を,受託者側が勝手に転売したりすると,海外のマーケットにその商品が出てしまうことになります。
商品を海外展開する場合,ブランド戦略やマーケティング戦略などの事業戦略を立ててから,パートナーも探し,販売展開するのが通常です。
そのため,国内市場でなくとも,日本企業のコントロールが及ばない状況で,勝手に商品が海外市場に流れることはマイナスになることが多いです。
ましてや,その国でもすでに販売店(Distributor)を指名して販売展開をさせているような場合は,商品を流されては競合になってしまいますから,余剰分を勝手に転売されると問題があるわけです。
また,市場に製品が出てしまうと,品質クレームを受けたり,製造物責任(PL)クレームが生じたりして日本のメーカーが対応を迫られるというリスクもあります。
こうしたことを防ぐために,英文契約書を作成する際に,きちんと余剰分(Surplus)が生じる可能性があるのか,生じるとすれば,それをどのように受託者側に処分させるのかを決めて記載しておく必要があります。
商品の余剰分を転売したり,担保に入れたりすることを禁止することは当然として,廃棄させるのか,それとも,次回注文時に余剰分を日本のメーカーが買い取ることを認めるのかなど,事前に決めておかないと,あとで問題になる可能性があります。
製造した商品数を把握し,そのすべてがどうなるのかについて日本のメーカーがすべてについてコントロールできるようにしておかないと危険です。
とかく製造委託契約の締結交渉では,商品の製造が注文した数に達成しなかった場合の契約違反に対する責任追及などに目が行きがちです。
ですが,余分に製造してしまった場合の取り扱いについてもきちんと取り決めておかないと,意外に大きな問題に発展することがあるので,英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),修正する際には,この点も意識することが大切です。
→next【英文契約書の相談・質問集227】NDAの秘密情報は指定するのか広く定義するののどちらが良いですか。
英文契約書に関するサービス内容のお問合せ,見積依頼は下記からお気軽にどうぞ。
正式にご依頼頂くまで料金はかかりません。
原則として,当日,遅くとも1営業日以内(24時間以内)に折り返しご連絡させて頂いております。